ルールは自分に厳しく・・・ゴルフルールは難しい

2004.99.99

第三話   自分に厳しいルール適用は他人が見て美しいものだ。こんなことがありました。

Sゴルフクラブのシニア選手権の2日目でした。同組のSさんはロングホールを3オン。
パッティングしようとして、「これは自分のボールではない」と言い出しました。
我々3人はそれぞれボールを確認し、間違いないことを確認しました。Sさんは、ラフに入った第2打地点で誤球したらしいと、2打地点まで戻りました。
後続の組をパスさせた時、後続の一人は「黙っていれば分からないのに・・」と言いましたが、私は「このまま知らん振りしてプレーを続け、仮に優勝しても彼は一生後悔することになる。自分のためにも誤球を宣言したのはいいことだ」と思いました。Sさんは調子がよく、このホールまでパーを続けていました。
 ボールは第2打地点で3メートル離れた所で見つかり、そのホールはダブルボギーになりました。その後、Sさんは調子を崩し、優勝の可能性はなくなりました。ホールアウトして浴場にいるとき、アナウンスがあり、『Sさん5位入賞』を告げているではありませんか。私は隣りにいたSさんに心から『おめでとう』とお祝いの言葉をかけ、彼はにっこり会釈した光景が目に浮かびます。

 他人にクラブを取り違えられ、『4打罰』になり優勝を逃した私の体験は「嘘のような本当の話」で報告した通りです。
私は、今でも優勝を逃したことより、確認してペナルティになったのは正解だったと満足しています。もし、黙っていて優勝扱いでいたら、その後は負い目で楽しくプレーできないばかりか、このエッセイの連載は到底実現しなかったことでしょう。

 プライベートコンペで、夏場の絶好のコンディションにも拘らず『6インチリプレース適用』を強硬に主張する人に出くわすことがしばしばあります。全員同じルールだから、そんなに拘ることはないのに・・・と思うのですがね。
『運も実力のうち』『不運もルールに従う』でいいではありませんか。ゴルフの原点『あるがままを打つ』を思い起こしたいですね。因みに九州では、どのコースに行っても、冬場でも、どんなにコースの手入れが悪くとも、ノータッチプレーが浸透しています。

 ゴルフのルールは難解だ。その上、数年毎に改訂されるから、なお難しい。
ゴルフのルールブックを読んで理解している筈が、いざコースでややこしいケースに直面すると、分からなくなる。
法律と同じで、条文を読んでいても、応用編が難しい。
その応用編以上に『自分に厳しく適用する心境になる』ことはもっと難しい。
自戒しながら、今後もプレーを続けたいと念じています。


− 私の名前は渡若造 7話 −

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