嘘のような本当の話‐‐‐ゴルフルールは難しい

2004.07.14

第一話     九州随一の名門kゴルフクラブの公式競技でこんな体験をしました。

アウトを終えて昼食となり、午後インをスタートした。
10番はパー4のミドルホールで第2打を私はピン2メートルにつけた。バーディパットを打とうとしたら私のパターがないのである。おかしい。午前中は使っていたのに。同伴競技者で、中州でスナックを経営している女性が「すみません。私が取り違えました。」と言う。どういう意味かと聞き返すと、昼食時間中に彼女は私のパターをロッカーにしまい込んでしまったのである。要するに彼女はルール違反を犯し、自分のパターを取り替えたつもりが他人のパターをしまい込んだのである。だから、彼女のパターは2本入っている。私は弱った。ロッカーまで取りに戻れば10分くらいかかるし、他のクラブでパッティングすればよいと思ったが、たかがど素人の競技会だ。グリーンキーパーが丹精込めて仕上げたグリーンをアイアンで打つなんてとんでもないと思った。キャディに聞いたが正確な措置を知らなかった。
公式競技だからいけないと思いながら、私は彼女の片方のパターで打った。入った。
バーディである。
続く11番は165ヤードのショートホール。私はまたもや会心のショットで1メートルにつけた。連続バーディだった。

こんな状態で18ホールを終えた。私はネット6アンダーの好成績だった。スコアを提出する時、彼女は「私が悪いのだからそのまま提出して下さい」と言ったが、私は公式競技だし、これで上位入賞するとまずいと考え、所属プロに確認した。
結果は『お気の毒だが4ペナルティです。そんな時はウッドかアイアンでパッティングすべきだった。』との回答だった。
因みに私は14本のクラブでスタートしていた。この結果、私は断トツの優勝を逃し、2位となってしまった。

私は、たかがど素人の競技だし運が悪かった、仕方ないと割切り未練はなかったが、少しだけ助平心を抱いていた。
あのオバちゃん、60歳くらいで色気も愛嬌もないけれど中州でスナックを経営しているなあ。「お詫びに店に来て頂戴、歓待するわ!」と言われたらどうするか。ご馳走になりに行くか。もし、怪しげな所へ誘われたらどうするか。単身赴任中とはいえ、相手するような女ではないなあ。色気を全く感じさせないし、あの容貌ではなあーと頭の中で思い巡らしていた。

しかし、私の杞憂は泡と消えた。そんな誘いの言葉はもちろん、お詫びの言葉もなく、次回会った時も知らん顔だった。
ゴルファーとしてエチケットに欠けるだけでなく、あれで水商売やっているのか? 
馬鹿だなあ。俺を一回招待しておけば固定客になったのに、と思った。今から10年前の出来事でした。


− 私の名前は渡若造 4話 −

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