恐ろしい老人パワー

2005.02.03

年配者の知人と一緒にゴルフコースへ出かけた。
スタート時間間際になり2人でスタート地点へ行ったが、他の2人は来ていなかった。キャディに「お二人はどんな人?」と尋ねると「お二人とも古いメンバーさんで、いつもバックティから打たれます。お一人は元代表選手で、かなり高齢の方です」との返答だった。
やがて2人が現れたので、いつものように丁重に挨拶をした。お二人とも場数を踏んだゴルファーに見えた。
すると1人の方が「私達はバックから打ちます。おたく達は好きな所から打って下さい」と、いとも簡単に言う。知人は「私は飛びませんので前から打たせて貰います」と答えた。私は年配者からこう言われると、前からとは言えず「私もご一緒させて戴きます」と応じた。このコースでバックティから打つのは初めてである。
第1打を打った。4人とも良い当たりであった。お二人のドライバーショットは大抵、私より10ヤードくらい後ろだったが,スイートスポットに当たっているように見えた。問題は第2打以降である。彼等が打つフェアウエ−ショットは素晴らしい。遠くからでもグリーンオンする。私は久しぶりに真面目に1打1打を打った。
少しグリーンを外すことは3人ともあるが、2人は確実にパーを拾って行く。それに反して、私は寄らず入らずのボギーとなってしまう。ううん、この違いは大きいなぁ・・を実感する。ゴルフは飛ばなくてもパーを取れるものだと。俺の方が断然若いのに下手だなぁ、まだまだ練習が足りないなぁ、問題は『寄せ』だよっ・・
昼食時は親しげに会話を交わした。2人ともハンディは6だった。Aさんの最高ハンディは1で、クラブの代表選手として全国の試合に行ったとのこと。若いときは著名なプロゴルファーとしばしばラウンドしたとおっしゃる。
高額会員権の有名コースをも開場当時から会員だったので、資産家でゴルフ一筋の方と思われた。Bさんは友人で最高ハンディ3だったらしい。Aさんは長身でゴルフにはもってこいの体形である。
乗用カートなんぞ使わずにスタスタと歩く。年配者とは思えない元気さにたまげた。私の父は84歳で亡くなったが、78歳のとき葬儀会場で会った父は老人そのものであった。その光景と見比べ、自分もあのように歳を取りたいと念願せずにはおれなかった。
午後はさすがに疲れからか、2人共ミスが出始めた。私はいつものようにキレルことなく、真剣にプレーした。
終わってみれば、Aさん83、私は85と健闘、Bさん88、知人105だった。ヤレヤレの心境である。
ラウンド終了後に知人が尋ねると、Aさん80歳、Bさん73歳だった。
こんな驚くべき老人パワーに出くわすと我々シニアゴルファーには勇気と希望が湧いて来る。私はせめて70歳までゴルフを続けたい、願わくば75歳までと思っていたが、『節制して80歳までゴルフ可能な健康でいたい』との夢にレベルを上げた。
その後、一人でプレーに行き、古参会員と話をすると「Aさんは有名な方ですよ。掲示板に彼の名前が出ています。
また、彼は資産家でゴルフ練習場のオーナーですよ」と言うので掲示板を見に行き、凝視した。
クラブチャンピオン7回、シニアチャンピオン6回、プレジデント杯1回のそうそうたる大物でした。


− 私の名前は渡若造 16話 −

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