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シニアマッチプレーチャンピオンシップ オーストラリア支局長メルウェイ

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10月のシニアチャンピオンシップと並んでメジャートーナメント、私にとって2か月ぶりの試合です。 クイーズランドのツイーズヘッズ、ウエストコース。
ナショナルランキング上位32位までの選手で行われますが、キャンセルが出るとウエイティングリストの選手にチャンスが出ます。前日、当日になると他州の選手は厳しいので、直前キャンセルの場合はどうしても、クイーンズランドの選手になります。
私にとって暫くぶりの試合ですが、この間、去年出場した3位と2位の成績が外れたので、私のランキングは23位まで落ちました。

去年もこのコースで行われたので、初めて出る私には不利ですが、暫く試合を休み、ラウンドを週に2度ぐらいにしてリフレッシュしたのか、直近の16回のコンペでの成績、HCの対象になるベスト8枚のスコアカードを見ると、スコアの平均が70.625でHCも+1.2になっています。最近またHCの算定方式が厳しくなったので、今までなら+2にはなっている計算ですから、個人的には今回の試合はちょっと期待しています。
直前になってポールが腰痛、ロイは現地に入ってから体調を壊してキャンセルしたので、ウエイティングの人が2人入り、その都度、組み合わせが変わりますから、私の対戦相手も2回変わりました。


私の初戦はジョン・ウイラード、今年の4月にナショナルマスターズで優勝した人です。個人的には、昨日の組み合わせになっていたディビットの方が良かったし、新しいドローでは、仮に1回戦で勝っても2回戦はステファンに当たります。
私は1番でバーディーを取り、スムーズに出たことも良かったのか、13番まで2アンダーで回り、6アンド5で勝ちました。
レストランに行って他の人達と食事をしていると、次の組をまわっている、この試合、3回も勝っている、ステファンが負けたという情報が入って来ました。何が起きたのか?私には全く理解出来ません。
実は昨日、練習ラウンドをした際、偶然ステファンと戦ったトレバー・ボックスと一緒になっていたからです。
そこそこのボールは打ちますが、どう見てもそれほどの選手には思えませんし、それこそ昨日、ウエイティングリストから入って来たのですが、昨日は80以上打っていました。


ステファンがレストランに来たので、どうしたの?って聞いたら、これがマッチプレーだよ、今日のトレバーは凄かった、6番まで私はパープレーだったけど、それでも2ダウンした。とにかく彼のパターはどこからでも入るということでした。
そんな話を聞いても、私としては昨日の彼のゴルフを見ているし、ステファンとやるよりは楽だろう、それに彼の実力からいって、このまま続くとは思えません。
私は調子も良いし、これは恵まれたと、正直なところ思いました。

1番ホール、私は12m、トレバーは8m、私はOKでパー、引き分けかと思ったら、ズドンと入って1ダウン。2番も右のバンカーから打った残り4mのパーパットが入る。
マッチプレーでは常に相手のパットが入ると想定していないと、入れられた時にショックが大きいので、常にその気持ちは持っているのですが、毎回のように3,4m残っているので、入ると思う気持ちと裏腹に、そんなに入り続ける訳がないだろうと思ってしまいます。
本当に外れないし、あるホールでこんなことがありました。彼のセカンドは右にプッシュアウト、ピンは右サイドで、グリーンの手前にはバンカーがあるので、転がしでは寄りませんし、林の中ですからボールを上げることは出来ません。
グリーンの左手前に打つしか手はありませんから、チップインしない限りパーはありません。当然、彼はその方向にアドレスを取っています。
約60y、彼が転がしたボールは、途中の木にかすかに当たり、コースが変わりグリーン方向へ、あれじゃバンカーに入ると思ったら、そのわきをすり抜けて何とグリーンへ乗ったではありませんか、本人もびっくりしてましたが、対戦相手に与えるショックは大変なものです。それでも6mはありますから、パーを取るのは簡単ではありません。
私のバーディーパットなど入るはずもなく、その後、彼はそのパットをまたもや決めて来ました。私としてはお手上げ状態です。決着するまで、彼は2アンダーですから、全くの完敗です。

ナショナルチームの試合が3週間後にあるので、その夜ミーティングがありましたが、ステファン、私と続けて負けたのが他の人達にも信じられないようで、その話で盛り上がりましたが、練習ラウンドで一緒だった時には80以上打っていたし、何だかよく分からないけど、とにかくパターがみんな入るという話をしましたが、ステファンは彼を知っているようで、今日は出来過ぎだから、明日は80打つよ。という言葉にみんなはうなずきました。

ところがトレバーの快進撃は止まりません。翌日もマーク、ビンスと立て続けに破り、決勝に残ってしまったのです。
決勝戦も1昨年優勝のイアンに18番のティーで1ナップ。イアンもナショナルチームのメンバーですから、応援しなくてはなりませんが、ステファンに始まって、この決勝戦までナショナルチームのメンバーに勝って来たのですから、ここで勝てばとんでもない番狂わせになりますが、ここまで来たらフロックなどとは言えません。どうせならトレバーに勝ってもらい、伝説を作ってもらいたいと、そんな気持ちになりました。
18番グリーン、1.2mのパットを沈めれば優勝というシチュエーションになりましたから、誰もがトレバーの優勝を信じて疑いません。
ところがこのショートパットを外してしまい、エキストラホールへ・・・
その後6ホール、互いにパーで分けて行きましたが、ついにイアンがバーディー取り決着になりました。


勝ったイアンは文句なく素晴らしいゴルファーですから、勝って当然とも言えますが、トレバーの快進撃は凄すぎて言葉がありません。
この人は既に63歳と、これから上がり目があるという選手ではありません。ゴルフも上手いという印象はありません。しかし、彼のパッティングは本物です。
ほとんど誰も彼に対する情報を持っていませんでしたが、地元の人によると、トレバーは面白い人だそうで、車に住んでいるそうです。勿論、バス型の大きな車だそうですが、そこで自炊も出来るそうです。
その車であちこちに移動してゴルフをしているそうですが、彼は地元の選手というだけでなく、このコースを大の得意にしているそうです。
幾ら得意とはいえ、3日間続けるのは簡単ではありませんから脱帽です。

この試合形式を是非紹介したいと思います。32人のマッチプレーで優勝を争いますが、負けても毎日ゲームは続きます。
つまり、1回戦を勝つと16位以内が決まります。勝った人は2回戦でベスト8を掛けてマッチをしますが、負けた人は、負けた人同士で組み合わせがされて、残りの2日間は17位から32位の順位決定戦になる訳です。残りの試合を全勝しても17位以上にはなれません。
2回戦で勝った人は、ベスト8以上が決定し、負けた人は同様に9位から16位の順位決定戦になります。
この方法で続けて行きますから、出場者全員が3日間で5回のマッチプレーをすることになります。ほとんどの選手は、負けても出来る限り順位を上げようと、一生懸命、目の前の相手に勝とうと頑張っていきますが、私のような者には、それ以降の試合にはどうしても力が入りません。
しかし、普段から良く知っている人たちばかりですので、マッチプレーというゲームを楽しむには悪くはありません。引き分けはありませんから、決着が着かなければ延長戦に行かなくてはなりません。
私は18番で決着が着かなかったら、コイントスで勝を決めようね。などと話したり1m程度のパッティングは、暗黙の了解というのか、勝ち続けている組は真剣ですから別ですが、我々はOKが出ます。
日本でやる場合、ランキングがありませんから、予選をストロークでやって32人を決めなくてはなりませんが、それ以降はこのシステムを採用することが出来ます。
この方式はハンデ戦でも出来ますから、クラチャンの他にこんな試合が出来たら、みんなにチャンスがあるし、予選を通れば5試合もマッチプレーを出来ますから、採用されたら良いと思いますね・・・

左はダリル、右はデニス。

左はビンス、右はサル。


ビンスは来週の誕生日が来ると69歳になりますが、彼の凄いところは今回の試合でも3位になっただけでなく、元々上手い人ではありますが、今シーズンの成績が、彼にとってのベストシーズンというのですから年齢を考えると、トレバーと同様に素晴らしいことです。