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ゴルフ場の持っている顔 オーストラリア支局長メルウェイ


私の印象として、ロイヤルメルボルンはフェアウエーが広く、コースも短いので易しいコースというイメージしかありませんでした。
キングストンヒースはドックレッグが多く、狭いホールもありますが、コースも短く、やはり易しいというイメージです。
実際に両者ともコースレーティングはハンティングデールより低いし、私が普段ラウンドしてみても、スコアは明らかにそうなります。


ところが先日、トーナメント仕様のロイヤルメルボルンをまわってびっくりしたのですが、本当に難しく手におえません。
ラウンドして1回もピッチマークがつかないのですから、グリーンも速いだけでなく固いのですが、距離が短いのに何で?そう考えると、答えはおのずと出て来ます。
ポテトチップスのようにうねった傾斜、距離の短いホールは極端にグリーンが小さくなっているからです。アマチュアとはいえ、オーストラリア全土、海外からも上手い選手が集まっているのに、77平均なら優勝出来るというのですから、如何に難しいということでしょう。
そう考えると、キングストンヒースもグリーンの傾斜は強く、短いホールはグリーンが小さいのが特徴です。その上ドックレッグのホールが多いのですから、グリーンを速くして、硬くすれば同様の仕上げは可能だし、更にもっと難しくも出来るということにもなります。


私たちの後にオーストラリア女子オープンがあるので、コースの中にちらほら櫓も出来ていましたが、よくよく考えてみると、男子のオーストラリアオープンやプレジデントカップも、女子オープンも同じ会場でやることって、すごいことなのではないか?・・・そう思っています。
日本なら男子トーナメントと女子のトーナメントの会場は別になりますよね・・・一般的に女子のトーナメントは、短いコースで開催されていると思います。
私の記憶では、最近の中で、男女のトーナメントを開催したのは川奈ぐらいでしょうか?

タイガーの出現で、アメリカのトーナメントはどんどんコースを長くしていきましたが、ボールやクラブが進化を遂げたこともあり、トーナメントがバーディー合戦の場になりました。優勝スコアがイーブンパー前後で争われていたUSオープンですら、二桁のアンダーパーになってしまうと、大味になってしまった感は否めません。
450yを超える長いパー4ですら、ショートアイアンで打たれてしまうのでは、距離を長くする、パー5をパー4にすることでは、歯止めになりません。


アメリカの選手が全盛だった頃、良いグリーンの定義として、止まって速いというのがありましたが、最近では固くて速いに変わっています。
アメリカに対抗する為に、そうなっていったのかは分かりませんが、イギリスを中心にしたヨーロピアンツアーの選手たちが、特に固いグリーンでやるようになってから、アメリカをしのぐようになったことは、ライダーカップの成績を見ても明らかでしょう。
イギリスの流れをくむオーストラリアでは、固くて止まらないグリーンが素晴らしいとずっといわれています。

私が好きだったコースはまさにアメリカです。造形を施したゴルフ場は、ふんだんな水と白い砂、見た目も美しく、トラブルは池とバンカー。良いショットにはご褒美が、ミスショットにはペナルティー。分かりやすいものが好きでした。
オーストラリアで見たゴルフ場は、自然のまま、ちっとも綺麗ではありません。フェアウエーやグリーンを除くと、砂や土がむき出しのところも多く、きちんと芝を敷き詰めれば、見栄えが良くなるのにと、何時も思っていました。

どちらかといえば、単純で分かりやすいアメリカ人に対し、イギリスから来ている移民の人たちは、ストレートな物言いではなく、何時も裏に何かある言い回しが好きです。悪い意味というのではありませんが、アイロニーというのでしょうか?ここで生まれたオージーとも、ちょっとキャラクターが違います。
私からすると、ちょっとめんどくさいタイプです。そんなところが反映されているのか、ゴルフ場もそうなっていて、フェアウエーの真ん中に打ったボールがバンカーに吸い込まれて行く、グリーンを捉えたボールが転がって、ブッシュにまで行ってしまうなど、良いショットまでも、悪い結果にされてしまう造りが良くあります。


ゴルフをしている際のストレスはありますが、難易度、やりがい、同じところから、何通りも考えさせられるという点では、こちらに軍配を上げざるを得ません
ロイヤルメルボルンでのトーナメント仕様は、グリーンの固さが半端でなく、日本でいうと、冬場のグリーンが凍った状態に良く似ています。ですからピッチマークはつかないし、グリーン上をパターでとんとんすると、その音はコンコンで、パターヘッドが跳ね返ります。
距離を長くしたり、バンカーや池などを増やしても、目に見えるトラップでは、進化した道具や選手の前では既に通用しなくなっています。更に難易度を上げるには、イマジネーションの世界に行くしかありません。つまり、池はあっても、距離が分かっていれば、それを超えることも出来るし、手前に止めることも出来ます。
しかし、グリーンを固くして、傾斜を増やすと、計算できない部分が多くなる為、難易度をどんどん高くすることが可能になります。


去年のUSPGAの試合で、選手に好きなコースのアンケートをしていたのがあり、ジェイソン・ダフナーを含めた4.5人の選手がアメリカのコースではなく、キングストンヒースと答えていたのですが、私には???でしかありませんでした。
試合でのロイヤルメルボルンを経験した時、すぐに感じたことは、こんな難しいコースでプレー出来るなら、やはり、ここのメンバーにもなってみたい。ステータスだけでなく、そういった観点からみた場合、コースとしても素晴らしいポテンシャルを持っているのではないか?
トーナメント仕様までは行きませんが、先日、ゲストとして競技会に出た際のキングストンヒースの設定は難しいものでした。おそらく実際にトーナメントになれば、凄い設定になることは想像がつきます。
確かにコンポジットは素晴らしいのですが、ホールをまたいだりもあるし、トーナメントだけの設定ですから、純粋に18ホールのコースと考えると、ダフナーはキングストンヒースを選んだのかもしれません。


試合でない場合、ゴルフ場の難易度としては、ロイヤルメルボルンやキングストンヒースよりハンティングデールの方が難しいとは思いますが、いざ、あの難易度にコースを設定しようとすると、ハンティングデールのグリーンは、幾つかホールで大きすぎます。また現状の大きさを維持するなら、それらのホールに対して、もっと極端な傾斜をつけるべきでしょう。
ロイヤルメルボルンとキングストンヒースはステイタスだけが、抜けた双璧だと決めつけていたのですが、こういった点を考えると、少し見直さなくてはなりません。

普段は、男女ともに若い人から年寄りまで、そこそこのスコアを出せて楽しめる。ところがトーナメントになれば厳しい設定が可能になり、トッププロをもってしても攻略が難しい、その上、女子のトーナメントも開催出来る。どんな状況にも対応出来る顔を持つコースが、私の理想ですが、実際にそのようなコースはあり得ない。そう思っていました。
しかし、今回のロイヤルメルボルンを見ると、全てが当てはまっているように思えます。
名門群の中で、ハンティングデールは人気がありません。その理由としては、距離が長く、バンカーが多いので、アベレージゴルファーにとって、良いスコアを出すことが簡単ではないからです。
一般的に、難しいコースが好きだ。という人は少数派です。万人から好かれるという点では、良いスコアが出せる。は、大きな要素です。
まぁ、それでも私としては、普段のゴルフを考える際には、ロイヤルメルボルンやキングストンヒースよりハンティングデールに1票を投じますが・・・


余談になりますが、ロイヤルメルボルンで行われるトーナメント仕様のコースをコンポジットと言いますが、私の聞いていた話では、36ホールから選りすぐりの18ホールでプレーすることと理解していましたが、それは違いました。違うでしょう・・・
確かに良いホールを選んではいますが、その条件として優先されているのは、クラブハウスに近いということです。ロイヤルメルボルンは敷地も広いのですが、住宅地の中にありますから、コースの途中に一般道路を渡るところが何か所かあります。
トーナメントを開催する際の安全上の理由ということもあるのでしょう。ですからコンポジットの中に道路を渡っていくコースはありません。それが証拠に、イーストとウエストコースでは一般にイーストの方が難しいと言われていますが、コンポジットの場合、それを証明するかのようにウエストコースの数が断然多く、その理由としては、ウエストコースはクラブハウスを囲んでいるホールが多いからです。