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残念だなぁ・・・ オーストラリア支局長メルウェイ


LongIsland

 午後から天気が悪くなるというので、珍しく午前中にスタートすることになりました。

 我々の前には、必要以上に陽気なOZ,4人組、“こんなに天気が良いんじゃさぁ、スコアが良くなって困っちゃうよねぇ、やさしすぎて面白くないよな!”と、大きな声、するともう一人が、すかさず“お前、良いスコアなんか、出たことないじゃないか”と大笑いする。自分達の話だけでは物足りないのか、次のスタートを待っている我々にも、話しかけてくる。
 “あんた達さぁ、何だか上手そうだけど、どのぐらいで回んの?俺なんかまだゴルフ始めたばかりなんだから・・・”もう一人が話を遮ると“余計なこと言ってないで早く打て、このバカ・・・”と、まるで酔っ払いののり・・・・“メルウェイでしょ?”たしなめたおじさんがやってきて、“私はマーカス”と握手を求めてきた。“メルウェイです。”・・・“ゴメンね、うるさくて。”とおじさん、恐縮。

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 我々は3人なので、通常であればどうしても待ち待ちになりがちだ・・・その上、ティーショットを見た限り、どう見ても上手そうではなかった。案の定、我々がティーショットを打って、セカンド地点に行くと、グリーン周りでは苦戦中。何とか皆がグリーンに乗ると、そこからは驚くほど早かった。ラインなんか誰も読んでない・・・・
 確かに彼らは上手くない、しかし、彼らのプレーは凄かった。どんどん打っていくから、数を打っても時間は掛からない。1ホール目だったから、特に苦戦したのかもしれない。次のホールからは3人の我々が置いていかれてしまう。ゴルフ場がすいていたせいもあり、1時間半で9ホールを終えた。

 売店でホットドックをほおばる前の組、我々が入っていくと、“俺たちさぁ、遅くないでしょ、遅くないよね!”さっきのよっぱらい風・・・“エクセレント”と私。とても満足したようで、“俺はジョン!宜しく”と手を出すので、“メルウェイ”と握手、結局、皆で自己紹介。
 “マーカスから聞いたけど、メルウェイはスクラッチなんだってね!正確なHCは幾つなの?”・・・+O.3・・プロなの?・・・違う、違う・・・なんでプロじゃないの?だってヘッドプロのリチャードより・・・“いんだよ、余計なことばかり言わなくて”、とマーカスにたしなめられるジョン。
 “そうか、若い頃プロだったんだ”と更に続けるジョン・・・ちょっと面倒くさくなった時、“さあ、時間だ”マーカスがジョンを促し出て行った。

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 後半も順調に進んで行き、やっと彼らの姿を捕らえると、1 3番パー5のティーで待っていた。それでも12番で我々がパッティングを終えた頃にはティーショットを打って行ったのだが、我々が13番のティーに行くと、今度はセカンドで待っている。早くプレーすることに誇りを持って、プレーしている前の組としては、誰しもきっと早く打ちたくて仕方がないのだろうか、クラブ片手に皆が皆、その前の組から目をそらさず、じっと見ていた。何かトラブルがあったのだろうか?それにしても長い・・・あのプレーぶりからみて、前の組は相当せっかちなのだろう。今頃きっとイライラしているのではないか?次の瞬間、前の組の一人が打つと、その後、すぐさま他の3人がセカンドを打ってしまった。やはりイラついているようだ、苛立ちの様子が手に取るように伝わってくる。

 今まで見えなかった、我々の後続の組が12番のティーに見えた。我々がセカンドに向かって歩いていくと、前の前の組は未だグリーンには乗っておらず、3打目なのか4打目なのか、打つのも遅いし、歩きも遅い。前の組は、先ほどの2打目を待っている時より、はるかに苛立ちは激しく、グリーン上で、ボールも打たずに、行ったり来たりしている、前の組を見ては大きく手を広げていた。13番はティショットが良いと、セカンドでグリーンに届く所まで行くので、我々の組は前の組がグリーンに乗っても、打つことが出来ず。更に待つことになった。

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 後ろの組もティーで待っている。
 次の14番は折り返しになるので、渋滞を作っている4人がティーにやって来た。それぞれが黒、グレー系の服で統一され、サングラスを掛けて、まるで矢野東か石川遼のようなスリムなパンツのいでたち。一見してアジア人だとは判断が出来た。彼らの前にはどの組の姿もない。
 グリーンが空いて、我々がセカンドを打ち、ホールアウトをして次のティーに行くと、前の組がまた待っている。

 “とにかく酷いんだよ、見てくれ、その上、あいつらの前には誰もいないんだ。何でパスさせないんだ。あいつら相当バカな奴らだ、だってこんなにゴルフ場は空いてるんだから、我々をパスさせれば、その後は後ろも気にせず、ゆっくりとゴルフをたのしめるだろ!”・・・もっともである。・・・・こちらでは、どうしてもブッシュなどに入ってトラブルになるので、更にボール探しが必要な状況で、後続が来た場合、すぐにパスさせるのが暗黙の了解になっている。

 私が前を見ると、4人のうち2人が林の中にいた、残りの2人はただ、彼らが打つのを待っている。これでは確かに進まない。そうこうしているうちに後ろの組がやって来た。・・・・前は伊豆高原、後ろは新宿・・・・とすっかり渋滞を作られてしまった。
 その後は、毎ホール、ティーで、前の組から苦情を聞かされ、後ろの組も、我々にぴったりとついてくるので、我々も後続が気になって仕方がありませんでした。結局、その後は、つっかえ、つっかえのゴルフで、やっとホールアウト。

 18番をホールアウトした時、1番ティーには、渋滞を作った彼らの姿・・・その直後、私の耳に入ってきたのは、紛れもない日本語で会話する彼らの声。この状況では1番聞きたくなかった言葉、言語・・・・最悪だと思いつつ、スコアの提出に行くと、前の組の面々は、怒りが収まらず、激怒していた。“何だあいつらは、メンバーなのか?”次々に出る、罵詈雑言。マーティンがパソコンで調べると、“コーポレート(法人)のメンバーだね、日本の・・・”

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 ロングアイランドには数人の日本人メンバーがいると聞いています。私は彼らと話をしたこともないので、全く面識はありません。またメンバーも誰一人として彼らの存在をしらないでしょう。
 何故なら彼らは、何時も日本人同士でゴルフをするので、他のメンバーとの交流がないからです。駐在で来ているのですから、ゴルフも仕事の一環としてやってると言えば、それも一理です。また日本の社会に於いて、ゴルフが仕事の延長線上にあり、プライベートのゴルフでさえ、同じ職場の人とするというのも、ごく普通の日本のスタイルです。ゴルフ場のキャディーさんと同様に、日本で作られた、日本式の文化なのかもしれません。賛否両論あるでしょう、今では悪い例として挙げられてしまう、護送船団方式、終身雇用など、考えてみれば、このような日本独特のやり方で経済の発展を遂げて来たことも事実ですから、おかしい、やめるべきだと、ただ単に批判する積りはありません。

 しかし、ことわざにもあるように、こちらでやるのですから、誰とどのようにやるまでは問いませんが、最低限、こちらのルールやマナーは押さえて欲しいと思います。彼らがあれだけ遅い理由は、下手なだけではありません。状況判断が悪い。確認したわけではありませんが、競技会にも出ていないので、恐らくはストロークでプレーもしているのでしょう。
 ですが、最大の原因は無知によるものです。彼らに誰かレクチャーをしてあげる人がいたら、彼らのゴルフスタイルは全く違っているかもしれません。彼らはゴルフを楽しんでいるだけで、自分達が遅いなどと決して思っていないのかもしれません。また多少遅くとも、誰かに迷惑を掛けているとまでは、思ってはいないはずです。
 こちらで、トラブルはつきものです。多少前と空いた場合は、パッティングを終えた人から、グリーンを離れ、次のティーに行って打つ、キャッチ・アップといいますが、急ごうと声を掛け合います。その上で、運悪く、複数の人がトラブルになった場合など、次のグループをパスさせることになるわけです。
 もう5,6年前になりますが、友達とゴルフに行ったとき、そこは本来キャディー付でしたが、トラブルが起きてキャディーさんがこれず、ハーフだけセルフでやって欲しいと言われたことがあります。御一緒した方は、50代後半のご夫婦で、数年前からゴルフを始めたと言っていました。
 言葉使い、物腰とも申し分なく、とても良い感じでスタートをして行きました。経験もあるので、ボールは上手く打てるし、プレーも遅くはありません
 ところが驚いたことに、素振りで何度か打ってディボットを作っても、そのまま行ってしまいます。バンカーに入ると、打った所だけレーキを使って直しますが、それ以外は直しません。グリーン上ではボールをマークする時、ボールの前にマークを置きました。誰かのラインなど、全く構わず歩いてしまいます。
 初対面だし、どうしようか、悩みましたが、2,3ホール行ったとこで先が詰まったこともあり、お話をしたのですが、結局のところ、お二人で始めて、何時もお二人でやっているので、どうするべきか、どうするものなのか、情報がなかったのが原因でした。
 私がお話しすると、そうですか、そうなんですかと、しきりに感心しています。

 このようなケースは決して珍しいものではなく、友人からも聞いています。友達や職場の同僚などで、一緒に始めると、何時も一緒にやっているので、周りとの交流が少なく、たまにそんな機会があった場合でも、それほど親しくない間柄では、気まずくなることを恐れ、見てみぬ振りをしてしまうので、この種の問題は意外に根が深く、なかなか解決されないようです。

 私の記憶では、日本のゴルフ場が、キャディー付から、セルフを取り入れるようになったのは2002年以降ではなかったでしょうか・・・
 古い話を持ち出すと、年寄りの常套手段と、若い人には言われてしまいますが、私が始めた頃は、親だったり、先輩から、曲がったらクラブを何本か持って走っていけ。と良く言われたものです。
 経験が浅い人たちには、キャディーさんが大きな助けになるし、また、その組のプレーを円滑に進めるリード役でもありました。私は注意する先輩方を復活させろとか、キャディー付に戻せと言ってるのではありません。日本でのゴルフは、そういった歴史があったし、その中で、初心者のゴルファーが学んだことも多くあったと言っているだけです。外資の参入により、セルフのゴルフが進みましたが、それはお財布にもやさしく、今ではそちらが主流になっているのですから・・・
 この移行がもう少し時間を掛けて、緩やかであれば、もっと違っていたかもしれませんが、急激に変化したしため、それ以降、始めた人たちは、手探りの部分が多く、仮にゴルフ経験が何年かある人と行った場合でも、その人たちが基本を知らないのでは、新たに始める人たちには、何も伝わらず、その結果、ガラパゴス化してしまったと言えます。

 アメリカ、ヨーロッパ、ここオーストラリアでもセルフでのゴルフが基本です。それぞれの国で、セルフでのゴルフが成熟しているので、ルールやマナーというより、習慣、常識として伝達されています。
ゴルフ場のメンバーになるのは、ゴルフをしたり、新しい人と知り合いになる中で、そういった部分を学ぶべきところでもあります。親だったり、友達がゴルフをしているのがきっかけでゴルフを始める人は多いともいます。
 環境、コスト面で恵まれているので、こちらでは、ゴルフをやってみる、面白いから続けてみよう、メンバーになる。ここまでのプロセスがとても短いのも、日本との大きな違いです。ゴルフだけでなく、どんなスポーツをしても最低限のルールがあります。ボールを打ったり技術的な部分がハードだとすれば、ディボットを直したり、人のラインを踏まない等は、ソフトと言い換えることも出来ます。

 日本ではゴルフを始めてメンバーになろうと思うまでには、時間が必要です。実際にメンバーになった人でも、数年という年月を要しているのではないでしょうか、その間、練習場ではボールを打ち、ゴルフ場へも行きますから、ハードの部分はどんどん上達して行きます。しかし、一方では、何年間もソフトの部分が取り残されてしまうため、スコアは50を切れるのに、悪気はない、知らないといってしまえばそれまでですが、グリーン上でパットをする人に対し、反対側から見ていたり、構えに入っているのに、前を歩いてみたりと、そんな光景も良く見かけます。

 ロングアイランドの彼らも、きっとそんな背景があって、ああなってしまったのかもしれませんし、若い人たちにとっては、多少同情する部分も少なくはありません。
しかし、そんな事情は、オーストラリアの人たちに理解してもらえませんし、言い訳にも出来ません。折角、親日的なオーストラリアでこのような事態は非常に残念です。会社としては福利厚生、仕事の一環としてコーポレートで入っているのでしょうが、彼らの行為によって、日本の評価を下げるだけでなく、会社のイメージも悪くなるのですから、ただ費用を出してゴルフをさせるというハードだけでなく、企業として、彼らに対する、ソフトの部分での指導をするのも、海外に進出する企業の勤めではないのでしょうかねぇ・・・

BigTree

 この大木は、高さが40mぐらいでしょうか、1番ティーとパッティンググリーンの間にありますが、近頃、倒壊の可能性があるとクラブで判断したため、切り倒すという結論になりました。
環境保護に熱心な国ですから、勝手に切ることは出来ず、シティーカウンセルに届けを出したところ、鳥達の憩いの場所だから、切ることはまかりならんとなったそうです。しかし、もし倒壊した場合、大事故になる可能性があるのでと、クラブ側も納得せず、ついに専門家が入り、調査することになり、毎日のように行われています。さて、どうなるのでしょうか・・・