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マーティンから学んだこと・教わったこと(後編) オーストラリア支局長メルウェイ

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先日、初めてマーティンとラウンドしました。

マーティン

現在38歳の彼はずっとトーナメントプロとしてツアーで戦って来ましたが、限界を感じているのか、気力がなくなったのか、数ヶ月前からプロショップで働くようになりました。何度か彼に誘われていたのですが、何時も私のゴルフは予定が決まっていたので、なかなか実現しませんでした。
その日は若いプロ、ハリーと3人でのラウンド。

マーティンの練習を見たときは、左体重で左右の動きを殺し、手首を強く返すので、フック打ちではないかと思っていましたが、肘を上手く抜いて、ストレート、フェード系のボールを打ちます。スイングの違いこそあれ、トーナメントでプレーするプロ達の打つボールには共通の飛び方があります。
ボールの打ち出しから、ゆっくりと飛び出すボールは、空気を切り裂くようなスピードでなく、抵抗の中をボールが穴を開けて貫通するといったイメージでしょうか、重く感じられるボールは、多少の横風などには影響を受けず、目標に突き進んでいきます。
私が尊敬してやまないディビット・グッドもそうですが、彼らの打つボールには安定感があり、見ていて心地よさを感じます。私もそんなボールを打ちたく、イメージして打ちますが、その差は歴然としているため、彼らに私の打つボールを見られるのが恥ずかしくなります。

トーナメントからは暫く離れるといっているので、どうでも良いは言い過ぎとしても、もっと結果にこだわらないゴルフをするのではと思っていたら、長年の習性なのでしょうか、1打、1打大切に打っていました。


パター編


面白かったのはパッティングで、カップに対しラインを決め、ターゲットラインにフェイスを合わせたら、そのままセットアップに入り、ボールを全く見ずにカップの方に顔を向けたままストロークしてしまいます。始めのうち2ホールで、2m前後のパーパットを左に外したのですが、次のホールからセットアップした時、1度右手のグリップの下に左手をグリップする、つまりクロスハンドの形を作った後に、また順手に持ちストロークするといった、新たなルーティーンを入れて来たので・・・どうして?と尋ねると、・・・“ターゲットに対し、自分が思っているより、やや左を向いてセットアップ(肩が少し開いている)しているから、ボールが左に外れる。1度クロスハンドの構えにすると左手が下になる分、左肩が前に出て修正されるので、これをしていれば、真っ直ぐに打てるので必ず入るようになる。”と、こう説明しました。

パッティング1
パッティング2

パッティング3
パッティング4

4番を終わって2ボギー、次の5番で2mを沈めると、そこから始まったバーディーラッシュ、上がってみれば67、HC+2ですから、ネット69でコンペでもAクラス2位。
当然ですが、毎回バーディーチャンスについているわけではありません。グリーンも3回外しています。決めたバーディーパットも1mが1回、3mが2回、後はむしろ7m、9m、長いのは13mぐらいのも入りました。ましてやラインの読みはあっていたとしても、強さも良くなくては入りません。兎に角入らなくとも、毎回カップをなめて行きます。しかもセットアップをしたら、一切ボールを見ず、打っているのですから・・・いったい・・・何なんだい・・・

老眼でパッティングに難のある私は、すぐに真似をしてみました。
ラインを決めたら、ボールに引いたラインをそこに向けて置き、そのラインにパターのフェイスを合わせたら、後は自分が構えやすいようにセットアップします。この時、右手だけでグリップし、その時フェイス面は絶対に動かないように。後は打つだけ・・・
始めは、合わせたラインとパターのフェイスの向きが、ずれているようで、疑心暗鬼になりますが、何度となく練習とラウンドを重ねるうちに、違和感がなくなっていくはずです。セットアップでは基本動作など考えず、自分が構えやすい形を見つけ、ボールの位置も色々なところに置いて、ここに置けば真っ直ぐに転がっていく位置を探してください。これ以降私のパッティングはずっと良くなりました。今の課題は、何時も同じようにセットアップしているはずが、微妙にずれて来た時、マーティンのように、どうやったら、良い形に戻す事が出来るのかを、自分なりに見つけておくことです。
ボールを見ずに打つのは練習ではやりますが、実際のラウンドでは、ボールを見て打っています。


ウエッジ編


新溝規制が採用されて、2010年1月以降のものでなければ、イリーガル(違法)となりました。もっともアマチュアはまだ暫くの間、使っていても、問題はありません。
良くラウンドするプロ達から、メルウェイはまだイリーガルなクラブを使っているのかと、からかわれるので、アイアンとウエッジを替えることにしました。アイアンは3セット目で何とか使えるものが見つかり、ウエッジ(私は50度、56度、60度を入れています)に関して言えば、3度目で50度は良いのに当たりましたが、残りの2本については、未だにしっくりせず、もっと良いものは無いのか、模索しているところです。

マーティンが練習場で、これを打ってみたらと彼が使っているウエッジを貸してくれました。彼のセッティングが52度、56度、60度でクリーブランドCG15、190cmを超える彼のウエッジは異常なほどフラットで、20cmも背の低い私が構えても、フラットに感じます。52度はバンス10度、56度はバンス14度、60度はバンス12度とバンスが多めで簡単で使いやすいタイプのものでした。打った感じも悪くは無かったのですが、顔(フェイスの見てくれ)が私には良いとは思えず、採用にはいたりませんでした。
しかし、彼の使っているウエッジがバンスの多いものを使っている点では、私と同じ考えなんだと思いちょっと良い気分です。

マーティンがどう?と聞いたので、顔が好きなタイプじゃないと言いましたが、もしウエッジを替える積りなら、シャフトをアイアンに比べたら1つ軟らかいものにした方が良いよ。と言われました。実際に彼のもそうしてありました。
その理由について尋ねると、芝が薄かったり、ディボットに入ったとき、シャフトが硬いと、弾かれるから、その分どうしても、強く振らなくてはならなくなるが、軟らかいシャフトでゆっくりと振ってやることで、シャフトがしなり、跳ね返されず、バンスを使いやすくなるし、クラブが入りやすくなるというのです。
実際に悪いライにボールを置いて、打って見せてくれましたが、確かに弾かれず、クラブフェイスを良く見ていると、綺麗に入っていくではなく、ズズズと入り込んでいくイメージです。
その後、買ったウエッジからシャフトを軟らかくしたのですが、ボールが上がりすぎるのではないか?曲がるのではないか?との不安の中、いざ打ってみると、むしろ今までより、フェイスについている時間が長く感じられ、今までよりはるかに狙い打ちしている感じが出ます。
シャフトが軟らかくなると、重量も軽く感じるので、強めに振ってしまう可能性が高くなりますが、そうしないよう、ダウンスイングでスピードが上がるのを防ぐよう心がけるのが良い結果に繋がるのとだと思います。

マーティンとのラウンドで私が得たものはたくさんありました。
こちらに来てから、まだ3年弱と決して長くいる訳ではありませんが、それでも、すでに多くのプロやトップアマとも友達になり、彼らから得たものはたくさんあったと思っています。

日本でも多くのプロとラウンドしたし、技術だけでなく、人間的にも素晴らしいプロにもたくさん会いました。ただ私が思うところ、日本とオーストラリアの大きな違いは、プロ達と我々の間の距離の差ではないかと思っています。
例えばゴルフ場に所属しているプロの場合、入って間もない、ほとんどゴルフ場に来ないメンバー以外、必ず名前で呼びますから、ほとんどのメンバーの名前と顔を覚えているということになります。
ゴルフをする回数や環境が大きく違いはするものの、日本のプロ達はいったい、どれだけ自分が所属しているコースのメンバーの名前と顔が一致するのでしょうか?どの辺りからボタンを掛け違えてしまったのか、ゴルフ場が、本来彼らの職務でなく、便利屋のように使っているという部分もあると思いますが、一方で特定のメンバーとべったりになって、一般のメンバーには見向きもしないという、彼らの傲慢も大きな要素ではあるはずです。

私の知り合いのプロも一昨年、今年と、2人契約を切られてしまいました。
二人ともゴルフだけでなく、良い人間性だったから、今まで契約も続いていたのですが、この数年彼らのゴルフが良くなってくるに伴い、トーナメントが近づいてくる、試合でコースを留守がちになる。こうなると今まで彼らがやっていた仕事の代わりを、誰かがやらなくてはなりません。
芽が出ない時は契約が守られ、頑張った結果が契約の終了ですから、皮肉なものです。

こちらのプロ達はメンバーを大切にします。メンバーが集まってゴルフ場を経営しているという認識があるので、一緒にゴルフをしたいと思えばそれはたやすいことです。グリップやシャフトを替える時、仮にそれらをプロショップでなく、ネットで買った場合でも工賃などは一切取られません。
知らないところでゴルフをする、何か調べて欲しいなど、当たり前のように対応してくれます。
かたやメンバーも、良くレッスンを取っています。定期的に見てもらう、調子が悪くなったら見てもらう。さまざまではありますが、習う人が多いもの特徴でしょうか・・
何人かプロがいると、誰にしよう、1度習ったら、もし合わなかったら・・・代えずらいし、気まずくなる。こう考えるのも日本ではよくある光景です。
しかし、こちらでは全く問題になりません。

ゴルフをするにあたり、クラブは大きな要素になります。
ゴルフを始める時、どんなクラブを選ぶべきか?また今のクラブが自分に合っているのか?分かっている人はどれ位いるでしょうか・・・
ゴルフ場にはプロショップ・・・ここには様々なデモクラブが置いてありますから、何時でも練習場では打てるし、コースで使ってみることも出来ます。ビデオで撮影したり、データをとって、何が自分に合っているのか、アドバイスをもらうことも出来ます。これらもプロの仕事です。

日本ではどうでしょう・・・まずゴルフ場にショップはあっても、プロショップではありません。
新しいクラブが出ると、量販店に行ったりしますが、必ず寄ってくる店員の人が、頼んでもいないクラブの説明をしてくれます。何かしゃべると、次々に話しかけられるので、見ている間は黙って聞いていますが、聞いているこちらが恥ずかしくなるような、無茶苦茶なことを平気で言い出すことも多く、ゴルフなど全く知らない人が、さも正しいかのごとく話、売っているのですから、何時も不思議に思います。
買う人にとっては、ゴルフショップからプロショップになってくれた方が良いと思うんですがねぇ・・・

こちらではメンバーの中には、我々が気持ち良くゴルフをするために、プロは必要だというコンセンサスがあります。ですから何時でもメンバーの要望に答えられるべく、どこのコースでも3,4人のプロが所属しています。したがって、経費削減など必要な場合でも、プロ達が対象になることはありません。またトーナメントなどで活躍することは、名誉だと考えますから、日本とは随分と考え方が違いますね!


マーティンのパッティング講座

グリップ

パッティング・グリップ

グリップと左手の写真です。マーティンとカイルに確認しましたが、二人とも同じことを言っていました。グリップする時は左手の親指のラインに沿って、その真下にグリップが来るように握ります。
ですから、かなり浅く握ることになります。親指を真上に向けて左手だけで持ち、腕を真っ直ぐ伸ばしたとき、腕とシャフトが直線になるように持つのですが、そうすると、浅く握る感覚が出ると思います。


まず、右手だけでパターを持ってカップに対しターゲットのラインにフェイスのラインを合わせます。次はスタンスを取って、決まったら左手を添えるだけ、後はそのまま打っても、フォワードプレスして打っても、構いません。

パッティング5
パッティング6

パッティング7
パッティング8

パッティング9
パッティング10