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マーティンから学んだこと・教わったこと(前編) オーストラリア支局長メルウェイ

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彼を初めて見たのは、もう2年も前になります。
当時私は、スタートを12時頃に取り、ゴルフ場へは10時ごろ行って、パターを練習して、ボールを打ってを日課にしていました・・・スタートの30分前に行って、お茶をして、パターでチョロチョロっと転がしたらスタートだった日本でのことを思えば・・・・本人の中では雲泥の差ですから、随分と心を入れ替えたものだ何て考えていました。

その日は朝から小雨が降っていて、午後からは回復するも強風、と天気予報ではこんな発表でした。
ほとんど止めるモードでしたが、他にやることもなく、取り合えずゴルフ場まで行ってみるか・・・と、こんな感じ・・・こちらでは、18H続けて回るので、朝のスタートは9時迄、午後の部は11時半からになるので、10時に行く私は、何時も午後組の1番のりです。
ところがその日、しかもこんな天気の日に練習グリーンに人がいるではありませんか・・・・雨の中、合羽を着て練習しています。

相当変なやつだ!・・・私が言うのも何ですが・・・彼を横目に見ながら、2階のレストランに上がりました。
当然、誰の姿もなく、途方にくれる・・・予想できる展開ながら、普段とちょっとでも違うパターンになると、どうしたら良いのか分からない・・・こんな時、私は決まって老いを感じます。・・・だけど、コーヒーはどうしても飲みたい!
スタッフと書かれたその扉を通過するまで、さほど時間は掛かりませんでした。お湯を沸かしている、給湯器を発見。コーヒーメーカーはあるも、使い方がさっぱり・・・・その辺りの引き出しを順番に開ける・・・・やりました。インスタントコーヒーのパッケージ。

“メルウェイ!”予想もしない大きな声に、心臓が一瞬停止・・・なんだ・ジョージかぁ、大きい声を出すな!びっくりするだろ・・・この人も普段から早くやってくる・・・コーヒー飲む?・・・飲む飲む。とジョージ。大丈夫かなぁ、この人何時も一言多いんだ。

オーストラリアには多くのグリーク(ギリシャ人)が住んでいて、メルボルンに40万だったか、当然、彼もその一人。私が決めたギリシャ人の特徴は3つ、1番目、みんな彫りが深く、彫刻のような顔をしている。2番目、もれなく、タバコを吸う。3番目、簡単な計算すら出来ない。
ジョージおじさんはとても気の良い人ですが、これら特徴を余すことなく、兼ね備えています。

ある時、ここでランチをしたのですが、彼が会計をしたので、20ドルを使った私が50ドルを出すと、なかなかおつりをくれません。計算している素振りではありますが、中々らちがあかず・・・またジョークだと思っていたら、そのうち指を折りだす始末。・・・そこまでやるかジョージ。余りにしつこいぞ・・・ジョージ!早くしてよ。50−20=30ドル。こんな簡単な計算出来ないの?半ば呆れて言ってみた私に返した彼の返事・・・オレはグリークだぁ!・・・これ実話です。
決して計算に強いと思わないOZから、計算が出来ない。イコール、グリークだからと言われるぐらいですから、相当なものですが、ギリシャが債務超過になり破綻したニュースを聞いた時、妙に納得したのは、言うまでもなく、またOZたちの反応はといえば、こめかみの上に人差し指を当て、ぐりぐりとしたのが印象的でした。

ジョージとたわいのない話をしていると、ウエイトレスのジャッキーおばさんが出社してきました。
おはよう!と何時も愛想の良い彼女。バーカウンタの中に入ったその時・・・・メルウェイ、またあなたね!・・・・またって、その中に入ったのは、今日が初めてなんだけど・・・ジョージがスリーシュガーなんていうから、砂糖こぼしてバレたじゃねーか・・・ジョージめ・・・我々のテーブルに残っている証拠のティーカップを何度も指差すジャッキーおばさん・・・・あら、そう・・こっちかい。

時間の経過とともにだんだんと人が集まってくる。普段なら閑散としているはずのこの時間帯、外は雨だからと、ビールを飲みだす人もいて、ジャッキーおばさん大忙し・・・4人がけのテーブルをくっつけては、人が増えるので、数えてみたら我々のところに15人も集まっていた

脈絡のない雑談の中、突然ジョージ・・・・メルウェイは本当に我儘な奴で、オレがさっき来たら、勝手に中に入って、コーヒー作って飲んでたよ・・・えっ、そう来るか・・・お前だって飲んだだろ・・・すかさずオークリー・・・メルウェイはね、ゴルフの後、ソロを頼む時、ジョッキ一杯に氷を入れろって言うから、この前なんかオレが次に頼んだら、氷がなくなったって言われたんだ・・・オークリー、お前まで話を作るな、話を・・・あんたはジュースなんか1度たりとも、頼んだことないでしょ・・・あっ!それ知ってる、知ってる。と余計なところから、バーン。お前もかぃ・・・こんな時ばかり、すぐに団結しやがって、この腐れOZども・・・
メルウェイに、わがクラブ1番の我儘男の称号を与えよう!オークリーがグラスを掲げる・・・
一同、イエーィ!・・・バカヤロ・・・この後、どれだけの人にミスターセルフィッシュと呼ばれたことか・・・・

予報通り雨が上がった・・・時計を見ると11時半を少し過ぎている。
外に出ると、雨は止んだが、さっきまで吹いていなかったはずの風が強い。練習グリーンでは、先ほどの変な奴が、まだパッティングの練習をしている・・・イヤホーンをして音楽を聞きながら・・・私が来たのが10時、すでに時計は11時40分を指している。
少なくとも2時間近くはパッティングの練習をしていることになる・・・しかも雨の中。朝チラッと見たときは長いパットの練習をしていた。セットアップの形を見れば、上手いだろうことは、容易に想像ができた。


グリップ

パッティング・グリップ

私もパターの練習を始めると、ラインが変わるほど、風が強い・・・すぐに私はギブアップ・・・奴は短いパットの練習を黙々と続けている。私はプロショップに行って、受付を済ませたが、どうも奴が気になる・・・リチャード(ロングアイランドのヘッドプロ)に・・・あの練習グリーンの彼、知ってる?
マーティンだよ!・・・見たことないけどメンバー?・・・そうだよ・・・もう2時間はパッティングの練習をしてるんだけどさぁ、彼のHCは幾つなの?・・・
+2・・・えっ、+2、何だそれ、プロでしょ・・・そう、ヨーロッパツアーでやってる。2年前のスコティッシュオープンでは勝てなかったけど、16番までトーナメントリーダー、結局3位だったけど・・・それって本物じゃん・・・

ナショナルのメンバーでもあるマーティンは、シーズンオフになるとオーストラリアに戻って、練習をするとのこと・・・スタートの1時間半前に来て、こんなにやってるんだから、上手くなるはずだ、と考えていた自分が、何ともはずかしい・・・今、思い起こしても、さらに恥ずかしいばかり・・・
私はその後、時間までボールを打ってスタートしましたが、私が終わる頃、今度は彼がレンジに来てボールを打ち始めました。
左足体重で、左右の動きを極力抑えて打つ、打ち方は、少し前のスイングではありますが、身体が大きく、腕っ節が余程強いのか、ボールがピンポン球のように飛んで行きます。
9時には来ていたそうですから、スタートまで4時間は練習していたことになります。ちなみに、この強風の中、彼は3アンダーであがってきました。
トーナメントで戦っているプロって、凄いはとっても・・・・

マーティンがあんなに練習するのだから、上手くなるには最低でも、あのぐらいはやらなきゃだめかぁ・・・50歳になった時、ゴルフはやってきたけど、まじめに取り組んだことはなく、どれだけ上手くなれるのか?自分の限界を見てみたい。と、こんな気持ちになっていたので、早速、私もやってみることに・・・朝9時にコースに行って、パッティングの練習を2時間、続いてショット、チップの練習・を2時間・・その頃の私は、何とか週4で歩きのゴルフに慣れてきた頃でした。

結論・・・・全ての練習が終わる頃には、身体も気力もボロボロで、その後の18ホールは1ホール、1ホール進んでいくので精一杯・・・次の日、起きたら身体が鉛のように重く、トイレまで這って行くようでした。それでも何とか午後から練習に行きましたが、ちょっと身体を動かすと、全身に激痛が走り、練習と言うより、身体をただいじめている感覚でした・・・次の日は、何とか初日と同じメニューをこなすと、翌朝には、全く身体が動かせなくなり、その後の2日間はとにかく安静にしているだけでした・・・体力をつけなくては、何も始まらない。

体力をつけようと週に4回、9ホールを走ろう!と始めた矢先、ある日起きたら、左肩が上がらない。50肩・・・最悪・・・整形外科に通い、マッサージ、針、カイロと良かれと思うことは全てやってみました。どこに行ってもエクササイズを薦められ、地道な活動ばかりが続く・・・9ヶ月経って、やっと回復の兆し・・・走るのは続けていたし、エクササイズもやっていたので、きっと体力も少しはついただろう。肩が良くなってきたのを契機に練習を増やしてみる・・・週に4回、5回とラウンドする体力はついたが、練習をする体力までは、全く足りていない・・・・試行錯誤の上、今年の3月ジムに入ることを決意・・・同じゴルフ場のメンバーである社長のジョーに相談したら、年会費もまけてくれたし、1番優秀だというトレーナーも紹介してくれた。

よ〜し、これで完璧だ!ジムに行って、トレーナーに話を聞く約束の日までの2日間、とっても幸せな気分でした。しかし、どこかでは、何だろう、この高揚感?いつだったか、同じような経験をした気がする・・・
トレーナーは20歳そこそこで、決して美人ではなかったけど、“やってるでしょ、トレーニング!”いかにもそんな風貌です。パソコンに私のデータを入れながら、どうなりたいのか?どうしたいのか?細かく聞いていきます。
私の考え、希望を話すと、よくよく聞いて・・・・OKメルウェイ、良く分かりました。あなたは来月で52歳、週に5回ゴルフをして、その他に4時間練習をする体力をつける。しかも1年以内で・・・多くのアスリートは長い時間を掛けて、計画的に肉体の改造をしていきます。過度なトレーニングや無理な計画は、薦められませんし、実際問題として無理だと思います。どうでしょう3年後にそうなるのを目指しては・・・言ってる口調は穏やかだけど・・・
彼女の話はもっとも・・・なんでしょう。しかし、こちとら江戸っ子、鬼が3回も笑うほど、時間は掛け・・・られねぇ・・・だけど、気持ちだけで対案はなし・・・
帰り道は暗かった・・・・気持ちも道も・・・そして思い出しました、あの高揚感・・・学生の頃、試験の前に集めまくった、コピーの束・・・いつも授業に出てる奴、普段なんか話もしなかった、彼らから、もらったなぁ・・・よ〜し、これで試験も完璧だ!あの時も不安から、一気に幸せになったっけ・・・結果は散々だった・・・コピー集めても、中を見なきゃぁ、点とれない。

ジムに通っての筋トレは断念。何か別の方法はないのか?
カイロプラクターのジムに相談すると、水泳が良いよ!と教えてくれました。メルウェイは肩を痛めたのでクロールでなくブレスストローク(平泳ぎ)をやったらいい。・・・良き友の助言、ありがたい。・・・・思い起こせば、ありました。先輩のありがたいお言葉・・・メルウェイ!試験はなぁ“良い目、良い席、良い仲間”

ジムにあるプールは長さ15m、プールに入るなんて、小学校以来か・・・1往復は何とかなった・・・2往復目は最初の15mで結構きつい、少し休んでやっと2往復・・・ハアハア、ゼイゼイ、酸素マスクが欲しかった。呼吸の回復を待って3往復目、さらに時間を掛けて4往復、これが限界でした。
2回目に行った時、泳いでいる途中で足がつってしまい、これからどうなるのか、不安でしたが、3回目、4回目は思ったよりずっと泳げるようになっていて、距離を伸ばすことが出来ました。
120m平泳ぎ、30mクロールの150mを1セットとして、週に2回程度、5セットから7セット泳いでますが、ドライバーの飛距離の欲しい方に、水泳は絶対お勧めです。
水泳を始めてから、2ヶ月ぐらい経った頃だったか、何だかボールが飛ぶようになったと、意識するようになったのですが、それからも少しづつ伸びていて、水泳を始めた頃に比べると20yは飛んでいると思います。皆から、やる度に飛ぶようになったといわれるので、試す価値ありです。何が良いのか、分かりませんが、水泳以外には思い浮かぶ点がありません。


次回、後編はマーティンのパッティング講座、必見!!