(特別版) 『渡若造の台北ゴルフ旅行』


今年は2月にサイパン島、6月にボルネオ島コタ・キナバルへゴルフツアーに行って来たが、この度、元勤務先の1年後輩の友人から台湾へ連れて行ってくれと要請された。

1年に海外3回は遊び過ぎかなと思ったが、後何年元気でおれるのか分からないので、「元気な間に行っておこう」と考え実行することにした。時期は1年で最も安く行ける12月を選んだ。但し、原油高からくる燃油サーチャージは6ヶ月前の原油相場で決まるので、22,000円も上乗せして取られてしまった。年明けから大幅に安くなる見込みなのに残念。

早速、現地の知り合いであるMさんに連絡を取り、ゴルフ場の予約を依頼した。Mさんは台湾人で、有名な林森北路で日本人相手のミニクラブを経営しているママである。確か43歳前後で独身。これまで私は彼女と4回ゴルフの同伴プレーをしている。大変快活な性格で、まったく男女関係の心配のいらない女性だ。だから私との交遊も長続きするのだろう。彼女は音信不通だった日本人男性のIさんと連絡を取ったので、Iさんから「歓迎する」とのメールが入った。Iさんは私の9年後輩で台北駐在だったが定年前に退社し、台北市(タイペイ)でフードレストランを開業した勇気ある変り種である。ゴルフはこの4人がメンバーと決まった。

私はこれまで何回も台湾を訪れているので観光地では行く所がない。従ってゴルフを2回組み入れた。
1回目は台北(タイペイ)から車で30分の北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブである。市内から近いので日本人がコンペをよく開催するコース。Mママが仕事で夜が遅いので、ゴルフ場へは11時前に行った。台湾は不況で平日のゴルフ場は空いており、到着順のスタートだった。10分パッティングの練習をして1番ホールに行くと何とキャディが4人居る。即ち1人に1人である。専属キャディが余っているのです。乗用カートは2人乗りで2台用意されている。我々2人が座ると2人のキャディは後ろのゴルフバッグ横に突っ立って乗る光景は滑稽だった。このゴルフ場は私にとって3回目のプレーである。日本に比べると芝の手入れが悪く、おまけにグリーンは砂を入れているので転がりは重い。ゴルフ経験30年以上の私でも、グリーンの芝目を読む能力はない。傾斜がないので真っ直ぐかと思いきや、右に左に急角度で切れるグリーンは難しい。ところがキャディは的確に打つ先を指示し、キャディとして一流であった。彼女の的確な指示に救われ、私はRT(6416y)から打って42・40の82は好スコア。因みにBTは7090yと長い。友人Oさんは121、Iさんは104、Mママは赤マークから打って94だった。このコースはティグランドに距離表示がないのは不便であった。日本人には日本語のできるキャディをつけるのかと思い尋ねてみた。入社直後に日本語研修が行われるが、その後は実地で覚えるそうである。18Hスルーで回り4時間で終了。支払いは4020元(現在のレートで11,000円)でした。外国のゴルフ場にはシャワー設備のみで浴場はないのが普通だが、日本人が多いので風呂が設置されていたが、ホテルが近いので入らずに引き上げた。


北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
クラブハウス玄関 ハウスフロント横にコーヒーコーナーは珍しい
北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
同伴4名 休憩小屋は家一軒分の大きさ
北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
マンションが建ち並ぶ 理由不明だがコース内に銅像が建っている
北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
Oさんは日本の兵隊さんの姿 淡水河が見える
北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
キャディの服装 渡若造のアドレス
北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ 北投国華(ペイトウクォファ)カントリークラブ
グリーンの芝 バンカーは荒れている

2回目は有名な台湾ゴルフクラブ、通称淡水(ダァンスイ)である。淡水は日本人にとっては、台湾を代表する名門ゴルフクラブだと思っている人が圧倒的に多い。何故なら、ゴルフ隆盛期の日本ツアーで活躍した台湾プロは殆ど淡水出身だったからだ。このコースも私は3回目だが抜群に難しい。1年中風が吹いており、両サイドは林が迫っていて狭い。距離が長く、グリーンは砲台が多く、その上傾斜がきつい。プロはこの淡水で鍛えられ日本ツアーへ出て行くのだ。日本のコースは、バックティは落ち所を狭くしてあってもレギュラーティから打つレベルの人には落ち所は広く設計してある。宮崎のフェニックスカントリーがよい例である。この淡水は、プロ並みに飛ばす人も飛ばないシニアにとってもティショットの落ち所は狭いから簡単に林に打ち込んでしまう。芝付きは悪く、コース設計を別にすれば完全に二流のゴルフ場と言える。ラフは長く雑草が生えている。従ってプロキャディがついていてもロストボールが発生する。私もロストが出てミドルでスコア8を記録してしまった。
淡水はキャディが全員男性で大半がシングルハンディの持ち主である。私のキャディはハンディ3、もう一人はハンディ8であった。我々ヘボゴルファーはこんなキャディがつくとビビッてしまう。私のキャディは43歳で子供3人いると言っていたが、キャディだけの収入で子供3人を養えるのかと心配になった。


台湾ゴルフクラブ 台湾ゴルフクラブ
入り口横にあるバッグ回送設備 淡水コースのひとコマ
台湾ゴルフクラブ 台湾ゴルフクラブ
キャディは男子キャディ 両側から樹木が迫っている
台湾ゴルフクラブ 台湾ゴルフクラブ
フェアウェイは荒れている 広いフェアウェイもある
台湾ゴルフクラブ 台湾ゴルフクラブ
向こうに大型マンションが並ぶ 南国らしい樹木
台湾ゴルフクラブ 台湾ゴルフクラブ
池が点在 ハウスは立て替えられ立派になっていた

我々は青マーク(6915y)に近い所から打ったが、ロストボールや林への打ち込み等で大荒れとなり、私が51・46の97、Oさん112、Iさん104、Mママ112と散々な成績となった。淡水のコースは、以前は質素なハウスで鍵のかかるロッカーはなく、当然風呂もなかったが、新しいハウスに建て替えられロッカーや浴場が完備していた。しかし日本のクラブハウス程、豪華ではない。18Hスルーで回って4時間半、支払いはママが割引券を手に入れてくれたので3160元(日本円で8,700円)で済んだ。昔は高額だったが安くなり、正規料金はキャディなし・乗用カートなしで3、290元(日本円で9,050円)でした。地元ゴルファーはセルフ・カートなしでプレーしている。日本同様にセルフ主流はマナー悪く、バンカーが足跡だらけは昔とちっとも変わっていなかった。服装もシャツの外出しが多く見苦しかった。前日に引き続き好天に恵まれ、気温は25度に達した。私は粋がって半袖でプレーしたが、現地の人は長袖シャツである。沖縄も同じだが、日焼け防止なのであろう。土壌が硬いのかボールはよく転がり、グリーンは早かった。

今回4年ぶりに台北を訪れたが、種々感ずるところがあったので述べてみよう。
第一は、台湾が先進国入りに近づいている点である。初めて訪台したのは24年前だったが、交差点では数百台の自転車の群れに驚いたものだ。また街にはゴミが散乱していた。その後、行く度に自転車がバイクに替わり、車は1,000CCが1,500CCと大型化していく。車は埃にまみれていたのが、今回は綺麗に洗い落とされている。街ではゴミを見つけることが殆どなく、郊外に出ても同じだった。この街の様子で経済力だけでなく、国民のマナー向上を読み取れる。台湾も少子化で高齢化が進み、中国本土への進出で産業の空洞化が進んでいるそうである。

第二は、アメリカ発の世界同時不況は台湾にも及びあちこちで『景気が悪い』の声を聞いた。ゴルフ場は空いているし「日本から台湾までゴルフに来るなんて渡さんはお金持ちねえ」と数回言われた。帰りの飛行機の搭乗率は50%くらいだったので、台湾人の乗務員に「季節的に空いているのか」と尋ねると「景気が悪いから」との即答だった。成田の空港バス乗り場では、マレーシア・クアラルンプールからの便は搭乗率20%と聞いてまたびっくり。
宿泊したホテルは六福客機(レオフーホテル)でABCDのランクではCクラスの国際ホテルだが、部屋に歯磨き・髭剃りやドライヤーはなく、シーツ・タオル・バスタオルは連泊の場合は取替えるか否か選択制になっていた。『地球環境を守るため』と書いてあるが経費節減に他ならない。国際ホテルもここまでやるかと不況を強く認識した。

第三は、改めて台湾は親日派が多いことに嬉しくなった。往路の機中、隣席の日本人の話では「出張で台中と北京にしばしば行くが、明らかに日本人への態度が異なる」と。
日本軍の50年に亘る台湾統治が評価されたのに対し、中国本土は政府・マスコミが一体となった反日宣伝を60年以上続けている結果だろう。「日本人はおとなしくて、真面目でよく働き、お金を沢山使ってくれるから大歓迎だが、中国本土やK国はマナーが悪いだけでなく、お金を使わないから歓迎しない」と複数の人が言っていた。

第四は、友人Iさんの事業の目途が立ったと聞いた喜びである。定年前に退職し、多額の自己資金を投入して開業したレストラン事業が苦節3年、軌道に乗り光明を見出したことである。脱サラは簡単でない。異国の土地での開業だったが、彼の重大な決意に敬意を表する。Iさんの話では「当初有能と見込んだ参謀が悪かった。参謀だけでなく、パートに至るまで全員に近い人の入れ替えを行ったのが、軌道に乗ってきた原因」とのこと。『企業は人なり』『良い人材に巡り合えることが成功への道』とよく聞くがまさにその通りだ。私は現在、輪番制の管理組合の理事をしているが、人材によって機能を果たせるか果たせないかが分かれることを痛感している。私は今後事業を始めることは100%ないが、趣味の世界で良き人材に囲まれ、楽しく過ごしたいと願っている。


第五は、台湾を訪れる日本人の変化です。年間訪問客は100万人と報告されていたが、昔は大半が男性であり、『男性天国』と言われていた。以前はあちこちで男性の団体の騒ぎ声や日本人として恥ずかしい振る舞いを目撃したが、今回は静かなものでした。旅行客が80万人に減少している上、男性から女性にシフトされているからでしょう。中高年女性の食べ歩きだけでなく、若い女性の台湾旅行が増えている。街を歩いていても、レストランでも、ホテルでも日本人団体客にはそれ程会わず、恥ずかしい思いをすることはまったくなかった。海外旅行で日本人に多く遭遇すると旅行気分がそがれてしまう。

最後に台湾の基礎知識です。面積は九州をひと回り小さくしたくらい。人口は2,230万人で首都台北の人口は280万人です。北部と南部の気温の温度差は大きい。北部は沖縄とほぼ同じである。言語は、80歳以上は台湾語と日本語。若い人達は台湾語より北京語。日本語を学ぶ人達が多い。空港・ホテル・レストラン・ゴルフ場などでは相手が日本語を使ってくれるので、意思の疎通は可能である。


平成20年12月18日      渡 若造



− 私の名前は渡若造 −