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第46巻 オレたちバブル入行組 池井戸潤著 文春文庫刊

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「最北端はノースバレーカントリークラブ。最東端は根室ゴルフクラブです。」

「うん。根室ゴルフクラブには行ってきたよ。」僕(まこっちゃん)は冷えた缶ビールを受け取りながら、彼女に言った。

「最南端と最西端と最東端に行って、最北端に行かないなんて、世界のバランスが狂ってしまうわ。だから、あなたはそこへ行かなくてはいけないのよ。」

 呆然としている僕(まこっちゃん)に綺麗な耳をしたCAが言った。

「そしてまた、スイングを巡る冒険がはじまるのよ。」


目が覚めると我が家のベッドでした。あぁ、夢か。と思いながら、寝返りを打ってもうひと眠りしようと目を瞑りましたが、気になって眠れません。「世界のバランスが崩れてしまう。」と彼女は言っていました。そういえば、先週のゴルフで、久しぶりに弩スライスのOBを打ったのはそのせいかもしれない。日本最北端のゴルフ場ノースバレーカントリークラブに行ってないせいかもしれない。よし。そうとわかったら、早速、来週あたり稚内へ飛んで1ラウンドして来よう。そうすれば、東西南北を1年で回る年間グランドスラムも達成だ。なによりバランスが戻って、僕のゴルフも上向くだけでなく、世界平和も一歩前進するに違いない。尖閣諸島も竹島も北方四島も僕がノースバレーに行くことで解決されるなら、喜んで行くことにしよう。


ご無沙汰しております。まこっちゃんです。前回、目土の親方とのチキンレースに惨敗し、あげくに目土の親方が11月になってからの更新をする。という驚きの手段にまで訴えたため、今月になってしまうと「おらおら、今月更新してないのは、まこっちゃんとまっちゃんだな。おめぇら、加賀屋に草鞋を脱いだ恩を仇で返そうってぇのか。おらおら、さっさと更新しろ。」と親方に言われているような気さえします。口惜しいので、とりあえず、呟きます。

 「倍返しだっ!」


オレたちバブル入行組

今回ご紹介しますのは、「オレたちバブル入行組」です。TBSの大ヒットドラマ「半沢直樹」の原作で、この後、「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」と続きます。作者の池井戸潤氏とは同じコースのメンバー同士。(といっても面識は無いのですが)ドラマでも、主人公の堺雅人演じる半沢直樹がゴルフクラブを竹刀替わりにして相手を打ちのめす。というシーンが用意され、「すわっ!大人気ドラマ原作も『ゴルフ本』!」と読んでみましたが、相当するシーンは見当たらず。僅かに敵役が、「倒産したのに会員制ゴルフ場でゴルフして遊んでる」というシーンが登場するのみ。うーむ。ゴルフのイメージダウンだ。残念。こうなったら、とにかく「倍返しだっ!」

とりあえず空港に向かって飛行機に乗ります。早くノースバレーカントリークラブに行って、世界のバランスを取り返さないと。このままではいけません。

飛行機が、ふわりと飛び立つ時に毎度、強烈な睡魔に襲われます。ピンポーンッという音を聞くよりも早くリクライニングを倒して爆睡していますと、耳の綺麗なCAが現れて、僕の耳元に唇をよせてささやきます。

「急いで。早くバランスを取り戻さないと大変なことになるわ。」

「わかっているよ。そのために、僕は急いで飛行機に乗っているんだ。それより、そんなに耳元に息を吹きかけられたら、困ってしまうよ。」

「お客様!お客様!」構わず、彼女は私をゆさぶります。


「お客様ッ!」

目が覚めると飛行機の中でした。

「お客様!間もなく着陸です。お座席を元の位置にお戻しください。」

開けた口から落ちそうになる涎を拭いながら起き上がる僕に、冷たい眼差しを一瞥くれるとCAは行ってしまいました。また夢を見たのか?飛行機の中で、飛行機に乗っている夢を見ると確実に混乱します。ふわりふわりと落ちて行く感覚に目をつぶっていると、やがてお尻に着陸のコンクリートの硬い感触を感じます。


到着すると、外は真っ暗でした。蒸し暑い空港のイミグレを通りタクシーに乗ってホテルに向かいチェックインを済ませて窓から外を見ると、暗闇に光る灯りが見慣れない形で、まるで異国にいるようだな。と思いながらベッドに潜り込むととにかく眠ります。眠ると夢の中でCAが耳に息を吹きかけてくるので、よく眠れません。

「急いで。早くバランスを取り戻さないと大変なことになるわ。」

「わかっているよ。明日、ラウンドするから。そうすれば、全ては上手くいくよ。」

いくら説明しても、彼女は悲しそうに首を振って、じっとこちらを見つめます。説明につかれて目を瞑って寝ようとすると、また耳元で

「急いで。早くバランスを取り戻さないと大変なことになるわ。」と囁きます。

「頼むよ。もう眠いから寝かせてくれよ。明日ラウンドすれば、全ては上手くいくよ。」

何度もやりとりを繰り返し、疲れ果ててやっと眠りに落ちました。


目が覚めるとホテルの一室でした。

枕元の電話が鳴っています。寝ぼけながら、受話器を取ると

「はい?」

「お迎えの車がお待ちですが。」

「今行きますッ!」

慌てて、駆け下りて車に飛び乗りました。

タクシーに乗ると羊男が運転していました。

「遅いよ。寝ていたんだろ。」

「ごめんなさい。変な夢を見て、眠れなくて。」

「どうせ、女の夢だろ。」

どきりとして、羊男のくせに失礼な運転手だな。と思ったら、隣に乗っていた今回、ゴルフを一緒にする仲間が言っていました。確かに女の夢ではあるのですが、私は世界の平和のために来ているのです。決して、耳の綺麗なCAに耳元や首筋にふーふー息を吹きかけてもらうためではありません。


寝不足が続いて、タクシーの中でも夢現です。うとうとしていると、起こされました。

「おいっ!着いたぞ」


タクシーを降りると、ムッとする空気の中、ピンクの制服を着たキャディさんがわらわらと駆け寄ります。なんだ?このキャディさんたちは?その数10名以上。なんでこんなにたくさんいるんだ?なんだ?このゴルフ場は?それより、なんでこんなに暑いんだ?

呆然とする僕(まこっちゃん)に羊男が言いました。

「さぁ!タイのゴルフで10倍返しだっ!」


第47巻「オレたち花のバブル組」(12月更新予定)に続く。。。


以下、次巻への宣伝。


「まさかの急展開!果たして『タイのゴルフで10倍返し』とは?まこっちゃんは、本当に、タイでゴルフをするのか?それとも?それより、失われたバランスは取り戻すことができるのか?そして、まこっちゃんのスイングは世界を救うことができるのか?目が離せない!次巻も必見!倍返しだっ!決して、1話を2話分に引き延ばして、月を跨ごうなんていう魂胆では無いぞ!乞う!ご期待!10倍返しッ!」