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第45巻 一生役立つゴルフ超上達法 マーク金井著 マイナビ出版刊

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「ポリープがあるようなので、胃カメラ受けてください。その場で組織をとって、生体検査に回します。」

健康診断で「再検査」の赤紙に出頭したところ、お医者様に宣告されました。

「えっ?それは、癌とか、そんなものですか?」

「いえ、まだ癌と決まったわけではありません。良性のものか、悪性のものかわからないので、胃カメラをのんでいただき、その場で組織を生体検査に回します。えーと、あさっては来れますか?」

「あの、明日から出張なんですけど、、、」

「そうですか、早い方が良いのですが、、、あーっと、、、次に空いてるのは、10月の23日ですねぇ。1カ月以上先ですが、そこでいいですか?」

「はい。あのー、1カ月先でも大丈夫なんでしょうか?」

「まぁ、小さなポリープだから、1カ月くらいなら大丈夫でしょう。普段通りの生活をして問題ありません。お酒も飲んでもいいですが、控えめにしてくださいね。」

「はぁ。。。」


久方ぶりでございます。まこっちゃんです。しばらく、「ゴルフの本棚」を更新しておりませんでしたが、上記のような状況で、「本棚」更新どころではなく、ある意味、生死の境目を歩む1カ月間でございました。決して目土の親方と「どっちがM社長の「最近、お忙しいんですか?」攻撃に耐えて、どこまで更新せずにいられるか?更新した方が負けね。」というチキンレースをしていたわけではございません。お許しください。以前も「大腸ポリープの疑い」で正月の間、生きた心地がしませんでしたが、その時は大腸ポリープ自体が自然治癒しており、お尻の貞操を奪われただけで済みました。今回も無事で済むことを祈る日々です。

一生役立つゴルフ超上達法

ということで、今回ご紹介いたしますのは、「一生役立つゴルフ超上達法」(マーク金井著)です。

著者のマーク金井氏は、「人間試打マシーン」の異名を持つ方で、ゴルフクラブ評論をされている方です。10年以上前に一緒にお仕事をした後、誘われて一緒に若洲GRでラウンドしたことがあります。もちろん素晴らしい腕前で、その時も69か70でラウンドされました。もっともご本人も「アンダーパーは久しぶりです。スコアカードに同伴者としてアテストのサインをもらえますか?」とおっしゃられ、私のサインでよければと喜んでサインさせていただきました。

知り合いの書いた本というのは、なんだか読むのが恥ずかしくて後回しにしてしまうのですが、検査の結果、「後がありません」ということになるかもしれず、今、読んでしまおうと読み始めました。

大変参考になる本ですが、なにしろ、心ここにあらず。という状態ですから、中身も頭に入りません。ただ、「携帯の動画撮影機能を使って、1打1打、自分のスイングチェックをしながら練習しろ」という点は、よくわかりました。

早速、実行します。すぐさま携帯撮影用のホルダーを購入し、打っては見。打っては見。いつもは1時間あれば100球近く打つますが、これをやっていると1時間でその半分も打てません。

確かに、自分の悪い癖であるオーバースイングやヒッチの具合が良くわかりますし、それを修正しようとしたスイングが、前のスイングとどこが違うの?ということもわかります。やってみるとわかりますが、自分では修正しているつもりでも、前のスイングとの違いなんて、ほとんどありません。思い切って変えないと、スイング修正などできないことが、カメラの映像を通して、はじめてよくわかります。やっぱりカメラで、実際観てみないと本当のところはわからないんです。

ゴルフ場のスタートホールで分解写真を撮ってもらうこともありますが、やはり分解写真より動画の方が断然わかりやすい。

しかし、「一生役立つゴルフ超上達法」と書いてあっても、私に残された時間はあと1カ月。「短いゴルフ人生だったな。」と淋しくなって練習もやめてしまいました。

普段通りの生活をしても問題ない。ということなので、その間の週末もゴルフに行きます。

ゴルフ場に行きましても、いつもと景色が違います。

「生きている間に、あと何回ゴルフができるのだろう。」

「あと1カ月だとすると、残り数ラウンドだな。ここの橋を渡るのもあと僅かだな。」

「今のバーディパットは、ひょっとすると人生最後のバーディトライだったのかもしれないな。もう少し強気に打っておけば良かった。」

「ここの桜が咲くのを観ることはできないのかな」

「このOBは人生最後のOBだったのかな。名残惜しいOBだな。」

「この池にボールを入れるのも最後か。買っておいたボールは使わなくなったら、誰かにあげようか。」

などと、ひとつひとつプレイが愛おしく、ひとつひとつのホールがせつないラウンドです。来月に自分は入院してゴルフどころではなくなっていても、ゴルフ場はいつもと変わらず、みんな楽しくゴルフをしているのだろう。自分がいなくても変わらぬ日々がある。そう思うと、苦しくて悲しくて、自分がいなくなったら、他のみんながゴルフができなくなる方法はないのだろうか?と真剣に考えてしまいます。

妻に話をすると、私以上に心配するといけないので、妻にも家族にも黙って過ごします。


「はいー。口を大きく開けてぇ。無理に呑みこもうと思わないでくださいねぇ。大丈夫ですから。はいーっ。上手ですよぉ。もう、入ってますからねぇ。。。はいーっ。えーとっ、ん?えーとっ。。。はいーっ?ん?。。。あれー?んー?」

初めて飲む胃カメラは、苦しいと言えば、苦しく、苦しくないと言えば苦しくない。変な気持ですが、途中から担当の医師の様子がおかしい。

「あれ?んー。。。ちょっと待ってね。んー。もう一度、ここを良く見て、あれー?おかしいなぁ。」

「(なんだよ!)」胃カメラが入っているので、声が出せない。

「あれー。無いですねぇ。」

「(何が無いんだ?)」

「ポリープ。。。無いですねぇ。」


結局、ポリープありませんでした。

「時々、こういうことあるんですよ。バリウムの泡が映ってしまうケースですねぇ。やっぱり、カメラで実際観てみないと。本当のところはわからないんです。」

「(あれ?どっかで聞いたことある台詞だな。あ!マーク金井の超上達法!)」

「胃が少し荒れてますが、これはお酒の飲み過ぎのせいですね。少しお酒控えてくださいね。後は、十二指腸も食道も問題なく綺麗なもんです。」

それ以来、私のゴルフも少し変りました。

「生きている間に、あと何回ゴルフができるのだろう。」

「あと30年だとすると、残り2000ラウンドだな。ここの橋を渡るの面倒くさいから、動く歩道つけてくんないかな。」

「今のバーディパットは、今日最初のバーディトライだった。今日は調子が良いから、次のホールもバーディトライが来るぞ。少し強気に打っていこう。」

「ここの桜の木邪魔だな。」

「このOBは人生最後のOBということにしておこう。もうこれから30年OBなんて打つもんか。」

「また、この池にボールが入ったか。そう思って買っておいたニューボールは使わず、古いボールで打ったから、別にいいや。」

などと、ひとつひとつプレイが愛おしく、ひとつひとつのホールが楽しいラウンドです。来月に自分が出張してゴルフできなくても、ゴルフ場はいつもと変わらず、みんな楽しくゴルフをしているのだろう。自分がいなくても変わらぬ日々がある。そう思うと、苦しくて口惜しくて、自分がいなくなったら、他のみんながゴルフができなくなるように、「雨降れー。雨降れ―。俺が出張中は、雨降れ―。」と真剣に念じています。

もし、スコアの方も良くなっていたら、それは携帯電話のカメラ機能のおかげです。

妻に検査の話をしたら、笑いながら「良かったね。」と言ってくれました。心なしか妻の目が潤んでいたように思ったので、しばらくお酒は控えめにしようと思っています。