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第41巻 ゴルフを以って人を観ん―緑のお遍路さんたち 夏坂健著 日経ビジネス人文庫刊

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「こよみのぉ、うえぇではぁ、ディツッセェェンバァ。」
「あまちゃん」が観たいので、月曜日から土曜日はゴルフをやらないまこっちゃんです。梅雨なのに、雨降らないなぁ。と思っていたら、もう梅雨明けです。例年より2週間位上早いらしいです。テレビによりますと暑い夏は長く続き、例年9月初旬の秋の到来も9月末になるらしいです。これから、3か月近く暑さとの戦いが続くと思うとゲンナリです。

せめて、ゴルフに快適な10月を想像して、歌でも歌いながらゴルフしましょう。「あまちゃん」で主人公の天野アキ(能年玲奈)が歌う「暦の上ではディッセンバ―」です。
「こよみのぉ、うえぇではぁ、ディツッセェェンバァ。」
じぇっ?歌とか歌いながらゴルフやるな。マナーが悪いですか?すみません。

ゴルフは静寂のスポーツ。プレー中の大声は慎むべきで、歌などもってのほか、ましてやOB方向に打ったボールに、「あぁぁぁ戻れ!」と叫び、「自分でOB方向に打っておいて、戻れといっても、ダメだろう。」と注意されると「今日は七夕なんだから、ボールにお願いしたっていいじゃないですか?」と開き直ったりすること(実話)は、厳に慎むべきです。

名門と呼ばれる倶楽部では、「ナイスショット」の掛け声や、グリーンオンの拍手も慎むべきだそうです。打った本人は全然ナイスショットと思っていないのに、「ナイスショット」と言われたり、拍手されたりは、「馬鹿にされている」と思うとか。

大変ですね。私なぞは、「見た?見た?今のティーショット?ピン真っ直ぐだったよね?右からの風を読んで、ちょっと右から回したんだけど、ベタピンだね。OK?じゃない?え?載ってない?零れた?奥のバンカー?おかしいな。フライヤーしたのかな?え?ティーアップしてるとフライヤーしない?そんなの、誰が決めたんだ。」とか、言ってしまうんですけど。まぁ、「名門」には縁がないから、大丈夫かな。(笑)

第41巻 ゴルフを以って人を観ん―緑のお遍路さんたち

今回ご紹介しますのは、久しぶりの夏坂本。「ゴルフを以って人を観ん」です。怖いタイトルですね。ゴルフを観ただけでその人となりまで推し測られてしまう。ゴルフに性格が出る。ってやつですね。この本では、各界の著名人と夏坂氏がゴルフを通じてインタビューする。という内容。もっとも、よくある著名人のよいしょに終わらないところが夏坂さんたる由縁。日本オープンで優勝者についたハウスキャディの女性だったり、3人あわせて250勝というフランス女子ゴルフ界の美女3人に会いに行ったり、ページをめくる手が止まりません。

それにしても、ヒトがゴルフに望むものは人それぞれですね。

私は仲の良い方たちと毎週日曜日にゲラゲラと笑いながら過ごす。ということにゴルフの楽しみを絞っています。その態度は、真剣にゴルフをなさっていらっしゃる方からみると、時々、「マナーが悪い。」とお叱りを受けることもございます。今回は自戒の念をこめて、私が過去注意された事例をいくつかご紹介してみましょう。

競技の時に、いつまでたってもアプローチを打たない人に、グリーン上の私のボールがラインに掛るから打てないのか?と思い「マークします。」と言って、マークしたら「ヒトが打とうとしてるのに、グリーンをチョロチョロ動くな!」と怒られたこともあります。私より若くて上級者の方で、もう2年以上前のことでしたが、先日もお会いしたら「ヒトが打とうとしている時に、グリーンをチョロチョロする奴とかと一緒だと疲れるんだよね」と言われました。「以前、注意されたことありましたねぇ。失礼しました。」と再度、謝っておきましたが、同時に、この人は本当にグリーンをチョロチョロされるのが、なによりも嫌なんだな。と納得しました。

仲の良い方と笑いながらゴルフをしておりますと、「ヒトが打つ時に動かないでください」と言おうものなら、「いいから早く打てよ」「気の小さい奴だな」と、逆にこちらが悪いように言われることが多く、いつのまにか自分も気にならなくなっていました。気をつけないといけません。

いつも笑いの絶えないかわりに周囲の人からはいい加減だ。と思われているかもしれない仲間内のゴルフですが、その中でも口の悪いU先輩に「いいか、俺は一度っきりしか言わないからな。」と言われてマナーを注意されたことがあります。

それは、「バックティーを使った時、フロントティーやレディスティーを歩くな。」です。

「ゴルフがちょっと上手いからと言って、偉そうにマナーやルールを語る奴は一杯いるが、そいつらのほとんどは、バックティーからティーショットを打った後、フロントティーやレディスティーを歩いていく。マナーというのは、自分より弱い立場のモノを守るべきもので、上手い奴が下手な奴に押し付けるものではないんだよ。バックティーを使うだけゴルフの技量があるのなら、フロントティーやレディスティーでゴルフをやる人間に対して、心を砕く余裕がなくてはならない。それがバックティーを使うゴルファーの矜持だ。」

確かに、注意して見ておりますと、かなりの数の方が、フロントティーを歩いていきます。ティーグラウンドが別々にある時に、わざわざ上に上がる方は少ないのですが、大きなティーグラウンドに青マークと白マークが一緒にありますと、青マークで打った後に、平気で白マークを横切ります。上手な方たちのスタートを見ていても、4人目が打ち終わった後、ティーグラウンドを横に降りるケースはかなり稀です。

以後、知らない方とゴルフをする時、ゴルフの技量はさておき、ティーショットの後の歩くコースを見るようにしています。白マークを横切るような人には何を言われても、気になりませんが、ティーグラウンドをきちんと降りる方とのゴルフは要注意です。「ティーグラウンドの歩き方を以って人を観ん」です。

競技の時など、知らない方と一緒にラウンドする時は、なるべく黙って、静かにそーっとゴルフをするようにしています。その人の嫌なことがわかりませんし、自分にとっては平気なことが、相手にとっては許せないくらい嫌なことかもしれません。

私にとっては、プレーが遅いことが、とにかく嫌なことなのですが、人によっては「ゆっくりプレーしたい」と言う方もいらっしゃります。

最近はすっかり気の合う仲間内でのゴルフの楽しさに、感謝しています。

先日もいつものように、いつものメンバーでいつものコースの月例に参加しておりますと、同伴競技者であるM先輩が絶好調。ハンデ13ながら、前半を41。後半も最終ホールを迎えて3オーバーですからパーで上がれば39。グロス80。ネット5アンダーです。

「これは、月例優勝ですね!」

「優勝したら、握りはチャラね!」

と我々も大騒ぎ。

最終ホールもM先輩はパーオンは逃したものの、アプローチもまずまず。ワンピンに寄せて、入れればパー。外してもボギーなら4アンダーで優勝圏内です。

軽い下りのパーパットを慎重に打ち、ラインに乗った白球は、、、ホール直前でまさかの急停止。あと半回転しなくても入ったのに。。。

M先輩は、がっくりと肩を落としながら歩いて行き、ボールをタップインしようとしたその時。「OK!」まさかのU先輩のOKです。ストローク競技ですから、OKしてもピックアップしてはダメなのですが、悪戯好きのU先輩は、絶妙なタイミングでOKを出し相手がボールをピックアップするのを見て喜ぶという常習犯です。

それにしても、月例優勝のかかったこの場で、そんな、、、と呆れておりますと、M先輩がボールを拾おうと手を出して、手に向かってパターでボールをコツンッ!

「あぁぁぁぁ!!!」とついつい叫んでしまいました。

すんでのところで、M先輩も気がつき手をひっこめたものの、パターでコツンッとやってしまったので、1ストロークプラス。その後、慎重にパターを沈めたのですが、そのホールダボ。ネット3アンダーになってしまいました。

大喜びのU先輩に「いくらなんでも、月例で優勝のかかった最終ホールでOKはないでしょう。」と私がたしなめますと、「こんな、最高のタイミングを逃すわけがないだろう。俺は、1ストロークを血眼に必死でゴルフをやっている奴を茶化すのが楽しみで、ゴルフやっているんだ。そもそもMは、そんなことで怒るような奴じゃないよ。」と胸を張ります。とても「フロントティーを歩くな」と説教した人と同じ人物とは思えません。

M先輩を振り返りますと「いやぁ、やられたなぁ。あそこで引っかかるとは、俺もまだまだだなぁ。」と笑っています。

結果は同ネットでしたが、M先輩がなんとか無事に月例優勝されました。1打1打を必死になるゴルフは、それだけでも楽しいのですが、優勝されたM先輩が69歳。OKを出したU先輩は75歳。私よりはるかに年上の先輩方が、子供の様な悪戯心を忘れずに、笑って過ごせるゴルフは、本当に素晴らしいなぁ。私もこういう爺さんになりたい。いつか、最終ホールで「OK!」を出してボールを拾わせて、大笑いしたい。それができる仲間と一緒にゴルフができる爺さんになりたい。ゴルフが上手くなることよりも、ゴルフで笑える友人を大切にしたい。と表彰式で拍手しながら思いました。