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定年後、ゴルフに耽る〜リンクス巡りの達人が教える手作り旅行 山口信吾著 ゴルフダイジェスト新書刊

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前巻に引き続き「まこっちゃんのリンクス漫遊記」その3になります。

定年後、ゴルフに耽る〜リンクス巡りの達人が教える手作り旅行 山口信吾著 ゴルフダイジェスト新書刊

その前に、この本の説明をしておきます。第19巻、第20巻「定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう」と同著者の同じ流れの本です。こちらは、2008年6月刊。ゴルフダイジェスト新書版になって、お求め安くなっています。更に内容も、副題に「〜リンクス巡りの達人が教える手作り旅行」となっていて、より具体的に読者をリンクスゴルフに誘います。書店でも手に入りやすい筈です。

さて、本来の「本棚」も早々に、「漫遊記」に戻ります。だって、なんてったって、セントアンドリュースオールドコースですから。

3日目の朝、カーヌスティでラウンドした後、カーヌスティの18番ホール横のホテルで昼食を摂った後、いよいよセントアンドリュースオールドコースへ。本来ならば、早めに移動してオールドコースホテルでマッサージ。という予定ではありましたが、なんだかんだで、結局マッサージには行けず。オールドコースでのプレーです。

ここで、オールドコースでのプレー方法の説明をしておきます。(本気で行く気の方、詳細を知りたい方は、必ずオールドコースを管理するセントアンドリュースリンクストラストのホームページhttp://www.standrews.org.uk/を参照ください。)オールドコースは「パブリックコース」ですから、プレー枠の大半は、前々日(以前は前日だった)に行われる「抽選」で割り当てられます(前々日の14時までに申し込む)。また、例年10月末までに翌年分の予約が受け付けられます。もっとも、予約枠は限られているので、夏場は予約を取ることが困難だそうです。また、オールドコースホテルの宿泊と組み合わさったオールドコースラウンド確約パッケージもありますが、数十万円します。さらに、代理店業者に頼めば、更に高額のパッケージツアーがあります。

オールドコースのスタートは、前述の抽選結果をもとに前々日の16時にはホームページで発表されています。もちろん、日本でも見ることができます。それを見ると、パラパラと2人の組や3人の組があります。ここに、当日、先着順で並んでスタートを取ることができます。もちろん、抽選結果では、「4人」で満杯になっている組にも当日、なんらかの事情で来れなくなった人もいる訳で、ここにも一人、二人。と入れるわけです。

我々は、幸運にも抽選で当たり、余計なパッケージを買うこともなく、£150(季節・年によって変動する。冬場は£70〜)支払うだけでラウンドできます。

カーヌスティでマイアミ野郎のキャディ付きラウンドを羨ましそうに見て、更にはマッサージにも行けなかった友人はキャディを雇うことにしました。キャディフィーは£45。(チップは別で、£15〜20らしい)プロゴルファーの様に、ひとりに、ひとりづつキャディが付いて、キャディバッグを背負ってくれます。私は、相変わらずトロリー(一人用の手引きカートのことを、「トロリー」と言います。)を曳いてのセルフラウンドです。トロリーは£5。電動トロリーは£15。オールドコースでは、夏場(4月〜10月)の午後のみトロリーの使用が認められており、午前中と冬場はコース保護のためにトロリーの使用が禁じられています。その時は、キャディを雇うか、自分で背負うか、しかありません。

また、オールドコースでは、ハンディキャップ証明書の提示を求められます。もっともハンデ24以下(女性は36以下)であればOKです。ハンディキャップ証明書は、所属するゴルフクラブに言うと発行してくれます。私は、所属するゴルフクラブに、英文の証明書を発行してもらいました。ホームページを見ると他のコースでもハンディキャップ証明書が必要。と書いてあるところがありましたが、今回、ハンディキャップ証明書の提示を求められたのは、オールドコースとロイヤルアバディーンの2コースだけでした。

今回は、イタリア人二人組と我々二人の枢軸国組でのラウンドになりました。私以外の3人は、キャディを雇っているので、総勢7人。イタリアペアと、私の友人には、常に先にティーショットするように言いました。そうすれば、キャディたちがそれぞれの雇い主に打つ方向を教えるのを横で盗み聞くこともできるだろう。という姑息な作戦です。

いよいよ全長6721yPar72のスタートです。もっとも、私たちの組は、6387yのフロントティーからのラウンドをします。OUTもINもPar5は1つづつ、Par3も1つづつ。残り14ホールは全部Par4です。1番355yは、かの有名なR&Aのクラブハウス前のティーからです。フェアウェイは18番と共有されていて、バンカーも無く、広々としています。右サイド、ティーから220〜255yにかけて小川があります。通常なら届きませんが、ここはリンクス。180y打つと転がって入ります。しかし、ここで手堅くアイアンやフェアウェイウッドなんかで打っていたら、イタリア野郎に舐められかねません。まずは、ドライバーで一発かましました。そこそこ良い当たりは、まっすぐ小川に飛び、小川に入る2y手前で止まりました。250y。残りは、あそこからなら100yも無いくらいでしょう。ここで、「あっ!」とか言うと、舐められるので、しれっと「あそこぎりぎりを俺は狙ったんだもんね。」という平然とした顔を作ります。もちろん心臓バクバクで、ちびりそうです。

2打をミスして、典型的な載らず、寄らず、入らずのボギー。スタートです。

2番395yPar4は右側が深いラフ。左を狙いたいところですが、狙い目の左サイドには250y付近に深いバンカーがありその先はマウンドになっています。ティーショットは、ちょい引っ掛け気味にまっすぐバンカーへ。と思ったら、バンカーを駆け上がりマウンドの上に。これまた、「俺の飛距離だとバンカー越えるから、バンカー目印に打ったんだもんね。」という顔をします。心臓が一瞬止まり、ちょっとちびったかもしれません。ここで、第2打を載せて、2パット。パーが先に来ました。幸先良いぞ!3番はバンカーに入れ、ボギー、4番3パットしてダボ、5番Par5もバンカーに入れてボギー。6番もまたバンカーでボギーとした7番Par4。349y。ピンまで10yほどに2オンし、これをドカンとバーディ!よっしゃ!この旅、初バーディです。テンションが上がり、次のPar3もパー。9番はバンカーでボギー。前半42は上出来。それにしても、またしてもバンカーマンがやってきた感じ。INに入り、短い10番もバンカーに入れてボギー、11番Par3もボギー。でも、このまま行けば、楽勝で80台だね。

12番Par4はこれまた短い304y。フェアウェイからみるとバンカーも無い楽勝のチャンスホールと思われましたが、ここのフェアウェイには、5つのポットバンカーが隠れていて、それには絶対入れるな。とキャディがイタリア人にアドバイスしている。ドライバーで越えるには、極めて狭いルートしかなく、そこに打てなければ、左右に大きく逃げるか、あるいは150y以下で刻むか。おいおい、バンカーマンの異名をとるこちとらに、「逃げる」とか「刻む」とか、笑っちゃうよ。ドライバーで、バーン!と打ってやりました。フェアウェイ真ん中にナイスショットを。「どうだ?!」とちょいと鼻の穴膨らませて、キャディ達を見ると、「ニヤリ」と笑って首を振っています。あれれ?だめなの?

行ってみると、ありました。真ん中のポットバンカーに。グリーンまで80yくらいなのですが、ご丁寧にグリーン側の壁にぴったりくっついています。フェアウェイが、バンカーに向けて傾斜しており、確かにほとんどのショットは、どれかのバンカーに入るようです。隣のフェアウェイまでバンカーを大きく避けた友人曰く「まるでパチンコだね。」

さすがのバンカーマンも、グリーンに向かって打つことはできません。それどころか、後ろに戻そうとしても、テイクバックがバンカーの壁に当たってしまうため後ろにも打てません。カーブしているバンカーの縁にくっついているため、左に出そうにもクラブをインサイドに引くしかなく、しかも、正面ほどではないにしても、バンカーの壁が高いのです。アンプレヤブルでバンカー内でドロップするか?しかし、ここがまた異様なほど柔らかい砂で、ドロップすれば、間違いなく目玉になりそうです。バンカーマンとしては、まずは出なくてもいいから、テイクバックを壁に当てないように壁に沿って上げ、右側にコンと打って、壁にあてて戻すつもりで、バンカー内でも打てる場所にボールを移動させるしかありません。まずは、第二打コン。先ほどよりは、マシですが、それでもグリーンは狙えず、まだ後ろにも戻せません。バンカーの右側に打つアドレスを取るスペースがボールと壁の間には無く、右打ちの自分に残されているのはバンカーの左側に打つ道だけなのですが、こちらは、すぐ向こう側にももうひとつのポットバンカーが口を開けて待っており、大きくは打てません。難しいバンカーショットです。しかたなく、バンカーとバンカーの間に第三打をポンと出してやると、前述したようにフェアウェイがバンカーへ大きく傾斜しており、ボールがコロコロと転がってバンカーに戻ってきてしまいました。ウソ!呆然としながら、やっと空いたスペースを使ってボールをほぼ真後ろに打ちだしました。残り130y。やっとオンして5オン。2パットの7。あ痛たた、、

がっくりきた13番でティーショットをまたもバンカーにぶち込み、横に出したものの、そこから、載らず寄らず入らずダボ。取り返したい14番Par5では、ティーショットを右にOB。さらには3パットまでやらかして8。15番でもポットバンカーにつかまりダボ。INで50打ちそうです。49でこらえるためには、あがり3ホールを1オーバーで行かねばなりません。しかも、あの難しい17番Par4「Road」もあるのです。

16番Par4は345y。キャリーで220y打てないとバンカーにつかまり。しかも左右に狭いフェアウェイ。右はOB。左はヘビーラフ。ジャック・ニクラウスは「アマチュアにはボギーオンすら難しい」と言っています。開き直ったドライバーは、ニクラウスもびっくりのナイスショット。バンカーを越えて、狭いフェアウェイのベストポジションです。セカンドはグリーンを外したものの、アプローチを寄せて、まずはこのホールはパーです。

St Andrews Links

いよいよ17番Par4「Road」です。右ドッグレッグの436y。ティーショットをホテルの施設の上を越えて打ち、更に待っているのは、有名な難しいレダンタイプ砲台グリーン。極端に細長く奥行きがありません。オーバーすればすぐOB。左手前のポットバンカーは、1978年の全英オープンで優勝争いをしていた中島常幸が、第2打をここに入れ、結局9打。優勝を逃したことから「トミーズバンカー」とも言われます。イタリア人ふたりは、ホテルの上を打っていきます。ブラボー!こいつら、プレッシャーとか無いのか?友人も、ホテルの上を狙うも、あえなくスライスし、ホテルに。窓を割らないか冷や冷やです。私は、ホテルの上では無く、ホテルの外塀沿いに打つ作戦に変更。これなら少しならスライスしても右ドックしている分、ホテルの中に入らずフェアウェイに出ます。ドライバーで打つと、低い弾道でスライスもせずまっすぐ。左サイドのラフに行きました。残り220y。ここは2番ホールと並行しており、左サイドのラフと入っても、ラッキーなことにラフは浅く、十分フェアウェイウッドが使えます。グリーンに届かないまでも、グリーン右手前がベストポジションです。左のトミーズバンカーはNGです。さらに残り50yくらいのフェアウェイ左サイドにもバンカーが2つ。とにかく右サイド。しかし曲げすぎるとヘビーラフで、さらにOBが迫っています。3番ウッドを短く持って、低い弾道のスライスでフェアウェイを狙います。なんとか右サイド残り30yのラフまで運ぶことができました。しかし、まだ難しい。ピンが砲台グリーンの左手前に切ってあり、ラフからあげても、止められない。オーバーしてトミーズバンカーに落ちてしまうかも。左右にぶれれば、グリーンから転がり出てこれも悲劇が待っています。ここは7番アイアンで転がしです。「あそこに落として、トーントンと走って、グーッと砲台を登って、ピンの右側5yに。。。」とイメージを出して打つと、ちょっと強いか?ちょっと左過ぎたか?トーントンと走ったボールは、グーッと砲台を登って、なんとピンの根元に。入るのか?!キャディ達がどよめきます。入りはしませんでしたが、根元にピタリ。よーし、とパーパットを打とうとパターを取りだせば、イタリア人の一人が「コングラッチュレーション!」と言いながら、おいらのボールをこちらのグリーン外に打ち出した。あ、こらっ!イタ公。俺の愉しみを奪うな!

St Andrews Links

18番は1番ホールの裏返しです。弩スライスを打たない限りOBもなく、ティーショットは1番との共用フェアウェイが広々使えます。グリーン手前に「嘆きの谷」と呼ばれる窪みがあり、それを嫌がって大きく打ちすぎるとOBラインが気になりますが、グリーンが大きく受けているので、今までの嵐のようなホールに比べると、ホッとするホールです。上機嫌で、ローマンブリッジで記念撮影をしました。予定通りのボギーでIN49。トータル91。大満足です。8時過ぎのホールアウト。今日はこのままレンタカーで、4時間ひた走り、明日は憧れのロイヤルドーノックです。(第22巻に続く)