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定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう〜カラー版 山口信吾著 日経ビジネス人文庫刊

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さて、前巻に引き続き「まこっちゃんのリンクス漫遊記」その2です。

定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう〜カラー版 山口信吾著 日経ビジネス人文庫刊

その前に、この本の説明をしておきます。同じタイトルの本ですが、こちらは、2005年9月刊。文庫版になって、カラーになって、更に内容も、1)コース概要と連絡先の紹介コースを108カ所に増やし(20カ所増)、 2)ラウンド体験を紹介しているコースを58カ所に増やし(13カ所増)、さらに3)おすすめのモデル旅行プランを9から18コースに増やすと共に、 4)2回のリンクス紀行(「ゴルフの歴史を体感する旅」、「最果てのコーンウォール半島へ」)を加筆されて、充実されています。

著者による「リンクスと非リンクスの違い」を紹介しておきます。「リンクス」は「広大な砂丘地帯に海底とつながった深い砂地に自然のまま造られたコース」ということになります。「非リンクス」は「ヒースランド」「シーサイド」「パークランド」の3つに分けられ、それぞれ、人間が自然を真似て造形して造られたコース。ということです。「ヒースランド」は、内陸にある「ヒース」しか生えない荒地(主に昔海底だった砂地らしい)のことで、リンクスの特徴をもった内陸コースです。日本ではお目にかかれませんね。「パークランド」は日本をはじめ、世界中にある「林間」「丘陵」「山岳」コースのことで、森や林のコースです。「シーサイド」は、アメリカの「ぺブルビーチ」や日本の「川奈」「小樽」や「サザンリンクス」などが当てはまる「海辺の土地」にあるが、「リンクスランド」ではない土地にあるコースです。わかりにくいですが、「リンクスランド」は「海底とつながった深い砂地」なので、芝やラフ、グリーンも下は「砂」です。ちょっと掘ると全部バンカー。わざわざ、トラックで砂を運んでくる必要はありません。(笑)「砂地」というと柔らかいというイメージがありますが、細かい砂がぎっちりと詰まったリンクスはとても硬く、ボールがコンコンとよく転がります。有名なターンベリーのエイルサコースなどは、第二次大戦中軍用飛行場として使用されていたくらいです。(もちろん、そのまま使ったのではなく、平らにして、コンクリを引いたのでしょうけど。しかも、戦後、それをまた元のゴルフコースに戻して、いまだに世界屈指の名コースにしていることは、敬服です。)なので、ドライバーが、まぁ良く飛ぶ、いや転がること。私のドライバーショットは、せいぜい200y越えるのが精一杯ですが、リンクスに行くと平均250y。クルーデンベイでは300y以上のPar4のTeeショットが、グリーンのエプロンまで転がるという大層気持ちの良いことが起きました。もちろん、それは、フェアウェイに飛んだ時で、ちょっとでもラフに行くと、ロストの危険性があり、まさに「天国と地獄」は隣合わせ。きれいなショットよりも、トップしたゴロの方が結果が良い。もっとも、この「硬い」は曲者で、いわゆる「ディポット」にボールがあると、とてもまともに当たりません。ボールの周りにある硬い地面にエッジが跳ね返されてとんでもない当たりになります。雨が降った後や水を撒いた直後であれば、すこし柔らかくなってターフも取れますが、晴れている時は、私のスイングでは、ターフも取れず。しかも「砂地」ですから水はけが抜群です。

さて、本来の「本棚」はこれくらいにしておいて、「漫遊記」に戻ります。

2日目の朝は雨。この日は、当初、「朝からセントアンドリュースオールドコースに並んでスタートを取ろう。」という予定だったのですが、昨日、電話で申し込んだ抽選に幸運にも当選。3日目の16:20スタートが取れたため、並ぶ必要が無くなりました。当日は雨と言うこともあり、ゆっくり朝飯を食べて、オールドコース近辺のゴルフ博物館や、ゴルフショップを冷やかしました。以前あったゴルフ本屋が無くなっており、残念でしたが、同行した友人は、「オールド・トム・モリス」印のパターカバーと、「ジョンストン・オブ・エルギン」のラムウールセーターを買いました。彼曰く。「寒い!(この日は10℃)これで、大丈夫!パターが入らない!これで大丈夫!(オールド・トム・モリスはどんなに短いパットでも、きちんとアドレスしてきちんとパットした。決して、パターの裏でパットしたり、掻き寄せたりはしなかった。という逸話を伝えたら、彼は、「パターの神様」だ、と思ったらしい。)」私も、前から欲しかったeccoのスパイクレスシューズを買いました。日本で買うより半額以下です。

昼食にアンストラザーにあるフィッシュアンドチップスの店に。なにやら、英国ベストフィッシュアンドチップスに輝いた名店だとか。まぁ、名店といっても、フィッシュアンドチップスですから。(笑)しかし、ぱりぱりしていて旨い。秘伝の衣だそうです。

Kingsbarns Golf Links

午後は、「キングスバーンズ(Kingsbarns)」でラウンド。ここは、2000年にオープンした新しいゴルフコースですが、人気も高く「TOP 100 Golf Courses of the world」(http://www.top100golfcourses.co.uk/)というWebのスコットランド部門によると第6位。(ちなみに1位はセントアンドリュースオールドコース。昨日行ったノースベリックは9位です。今回予定では、3位ロイヤルドーノック、5位カーヌスティ、10位ロイヤルアバディーンとスコットランドベスト10のうち6コースを回ります。)キングスバーンズは、人気も高いのですが、その分料金も高く、今回で一番高い£180/1人。オールドコースは£150。他の有名コースが£80〜120。一般のコースは、£40〜70が相場です。なんでも、スコットランドのリンクスの料金が値上がったのは、一説には、このキングスバーンズのせいらしい。「リンクスは公共財」という考えを持つスコットランドで、「ゴルフ1ラウンドで£100以上払う」なんて、考えられない!という時代に、最初から高額のビジターフィーを提示して、ビジター(主にアメリカ人観光客)を集めたらしいです。それを見て、他のコースも、「あそこがあの値段で、あんなにビジターが入るのなら、うちだって」と値上げしたとか。逆に安かったのはマッセルバラ、9ホールで、僅か£15弱(トロリー代込み)。ちなみに、ほとんどのコースは、メンバーは年会費のみで、グリーンフィーは不要。いいなぁ。日本でもそうしてくれると、本当に助かるんだけど。

キングスバーンズは、広大な段丘に展開するコースで、18H7181yPar72。近いうちに、全英オープンが開かれるのではないか?とまで言われるチャンピオンコースです。各ハーフにPar3が2つ、Par5が2つ。という近代的なコースです。練習場も広大で、タイトリストのPRO−V1Xが練習ボールで山と積まれており、お好きなだけ打ってください。しかも芝の上から。アプローチ、バンカー練習場も充実しており、最高級なリゾートです。まぁ、アメリカ人がぺブルビーチを、セントアンドリュースの横に持ってきた。って感じです。もちろん練習ボールの刻印が入っているので、くすねたりはしませんでしたが、ロストボール連発ラウンドが続いた数日後に「あれ、いくつか持ってきちゃえば良かったなぁ」と密かに思い出すことになりました。(笑)

段丘に展開しているので、各ホールから海を望むことができ、うねるアップダウンが面白みを倍増させます。ちょっと「川奈」に似たイメージです。朝から降っていた雨もあがり、レギュラーティー(6174y)からラウンドしOUT44IN49=93。(ロスト1、OB1、4パット1)もっとも、段丘からの景色が良い。ということは、それだけアップダウンがある。ということで、今回の中で、もっともアップダウンのあるコースでした。同行した友人は、キングスバーンズラウンド終了後、「リンクスは平らで疲れない。なんてウソだ!1日2ラウンドも楽勝。なんていうのもウソだ!俺は、もう1日2ラウンドは嫌だ!」と言い出しました。もっとも、「昨日は、1.5ラウンドだし、今日は1ラウンドだったじゃない。明日は、カーヌスティとオールドコースだけど、どっちかやめるの?明日は両方とも平らだよ。」となだめると、「それも、そうだね」と言っておりましたが。

ノースベリックのラウンジで旨い飯を食って味を占めた我々は、ここでも不味いホテル飯を捨てて、キングスバーンズのラウンジで晩飯を食いました。「アメリカじゃないから、チップいらなくて楽でいいね。」と話していたら、本日の勝負に負けてめでたく夕食支払い担当になった友人が、カード払いの会計時に、ハンドマシーンを渡されて、「何?」となっている。聞けば、渡されたマシーンに、「Gratuity/yes or no?」の欄が表示されているらしい。「Yes」を押して、苦虫を噛み潰した顔で金額を入れて、ウェイトレスに渡し「アメリカ人って奴は、世界中どこにでも、アメリカを持ち込みやがる!これだから、アメリカ人は嫌いなんだ!」と吐き捨てていた。アメリカの大学を卒業した癖に。(笑)

勝負に負けたせいなのか、アメリカ人のせいなのか、疲れたからなのか、とにかく機嫌の悪い友人と早々にホテルに帰り、翌日のカーヌスティとオールドコースに備えます。

3日目−朝。カーヌスティ。9:20スタートです。「昼ごろあがって飯食って、オールドコースのスタートが4時過ぎだから、きっと時間があるから、その時には、オールドコースホテルのスパに行ってマッサージ受けて、足の疲れを取って、万全な態勢でオールドコースに挑みたい。」と友人が本日の抱負を言います。できるかなぁ?

Carnoustie Golf Links

カーヌスティは、何より1999年の全英オープンで、フランス人プロ「J・V・ヴェルデの悲劇」で有名です。そういえば、あの時、テレビでラウンドレポーターをやっていた青木プロが、隣の17番ホールのラフから最終18番のグリーンを狙おうとしているJ・V・ヴェルデに「あ、莫迦!いいからサンドウェッジでフェアウェイに戻せ!このホールをダボでも優勝なんだから!」と叫ぶように言っていたのを思い出します。ご存知のように、J・V・ヴェルデは、そこからのショットをミスし、深いラフに入れた後、さらに3打目をグリーン手前の川「バリーバーン」に入れてしまい、靴を脱いで川に入りウォーターショットをしようとするも、ボールが水に沈んでしまい断念。ドロップした5打目をバンカー。6オン1パットのトリプルボギーを叩いて、プレーオフの末、優勝を攫われてしまうのです。「全英オープンが開かれるコースの中で、最も難しいコース」とも言われています。

更に古い伝説は1953年、ベン・ホーガンが、この地で、生涯一度だけ参加した全英オープンに見事優勝した時に、その完璧なプレーぶりからついた「ホーガンズ・アレイ(ホーガン通り)」の別名がつく6番Par5。も楽しみです。

この日は、マイアミから来た二人と一緒です。二人は、キングスバーンズのレインウェアを着ています。聞くと、「昨日の朝、プレイした」とのこと。「俺たちは、午後のプレーだったよ。」と言うと、「いいなぁ、俺たち雨で大変だったんだぜ。」と口惜しがっていました。そうか、その時買ったレインウェアか。似合ってるよ。

全長6945yPar72、OUTにPar5が1つ。Par3が1つ。INにPar5が2つPar3が2つというセッティングです。我々は謙虚に一つ手前のイエローティーから。全長6695yPar70、INのPar5がPar4になります。それぞれ、479yが462y、476yが461yになるだけだから、そのままバックティー(ホワイトティー)からやった方が、得な気がします。

伝説の6番Par5は、左がOBライン(隣のゴルフ場)、右にバンカーが並ぶ狭いフェアウェイです。この狭いフェアウェイが「ホーガン通り」です。ガーンと打ってやりましたよ。きっちり、左のOB。(笑)このホール8。そんなこんなでOUT46。それにしても戦略性が高い。マイアミの二人組はキャディを雇っており、バンカーを避けて進みますが、こちとら、「バンカーが怖くて、カーヌスティでゴルフできるか?」とチャキチャキのカーヌスティッ子気分でいたら、ほぼ毎ホールバンカーに掴まります。どれも一発で出して、寄せワンも出したら、キャディがおいらのことを「バンカーマン」とあだ名をつけました。勢いに任せて14番「Spectacles」にある絶対に入れちゃあだめと言っていた「Spectacles Bunker」にもぶち込みます。グリーンの80yほど手前にあり、グリーン側は約5〜6メートルほどの高さです。ここから、「うりゃぁ!」と乾坤一擲で振り抜けばあら不思議。ボールはグリーンオン、ピン手前5メートルに。これまたマイアミ野郎もキャディたちも、「Oh!Amazing!Bunker man!」と感嘆しきりです。これをペロリと3パットして7はご愛嬌。最終18番。ドライバーを左サイドのファーストカットに運びます。グリーンまで180y。グリーン手前はバリーバーンです。左サイドはOB。風は右から左。大きめに打って、引っかかるとOBです。ここは、バリーバーンの手前に刻むか。「バリーバーンが怖くてカーヌスティでゴルフができるか!」セカンドをエイッ!と打つと、グリーン左のバンカーに。マイアミ野郎もキャディも大笑い「Bunkerman!!」ワンピンに寄せるも、これまたぺロりとパットを外してボギー。J・V・ヴェルデに教えてやりたいよ全く。でもってIN47でトータル93。それにしても、パターが入らない。それでも、OBが1つあるだけで、ロストは無し。無くしたボールはOBの1個のみ。上出来じゃぁないでしょうか?

さぁ、午後は、いよいよオールドコースです。(第21巻に続く)