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定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう 山口信吾著 亜紀書房刊

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定年までは、まだ後、10年以上ある、まこっちゃんです。定年じゃぁないけど、リンクスゴルフを愉しんじゃいます。だって、後10年も待ってられないし。ライターカップまでに調子取り戻さなくちゃいけないし。そこで、この際、自ら「プチ定年」することにしました。と言っても、転職したり、独立したりと言った大げさなことでもなく、単なる「ちょっとばかり、長めの休暇を取っちゃうぞ」な、だけです。(笑)ついでに「溜まったマイレージを使って、リンクスにゴルフしに行っちゃうからね」なわけです。家族よ、仕事の仲間たちよ、わがまま言って、ごめんなさい。(そんなわけで、今回から数回分は、「まこっちゃんのリンクス漫遊記」をシリーズでお送ります。)

定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう 山口信吾著 亜紀書房刊

2003年の9月にも、私は、スコットランドに行きました。セントアンドリュース・ニューコース(ニューと言っても1895年創設)をはじめ、近辺のランディン(Lundin)レイブン(Leven)クレイル(Crail)アンストラザー(Anstruther)キングスホーン(Kingshorn)ロイヤルバージェス(Royal Burgess)といった、セントアンドリュースからエジンバラまでにいたるリンクス、内陸のグレンイーグルス(Glen Eagles)ラナーク(Lanark)。西海岸に移動して、プレストウィック(Prestwick)プレストウィックセントニコラス(Prestwick St.nicholas)さらにキンタイア半島の先っちょまでプロペラ機で飛んで、マクリハニッシュ(Machrihanish)と12か所のゴルフコースでプレーしました。

ちなみにグレンイーグルスを除くすべてのコースは、オールド・トム・モリス設計です。オールド・トム・モリス設計ということは、1800年代後半に作られている。ということです。また、グレンイーグルスと、ラナークの2コースを除く10コースはリンクスコースです。(もっともロイヤルバージェスは、パークランド=林間コースっぽいですが)自然なリンクスコースは、世界で百数十か所しかないそうです。ゴルフがリンクスから生まれた、あるいは、リンクスで花開いたスポーツだとするならば、一度は天然のリンクスでゴルフをすることで、なぜ、このスポーツが世界中に広まったのか?なぜ、このスポーツがこんなに面白いのか?を知る一助となる筈です。

前回は一人旅で、ラウンドする度に現地のゴルファーから、「一緒にやろう」と暖かく迎え入れらたことを懐かしく思い出します。最初にラウンドしたレイブンで、一緒になった親子(といっても、子供が40代の娘婿で、父親は70代でした)から、リンクスでのゴルフを教えてもらいました。「いいか、深いラフにボールを打ったら落下地点から目を離すな。そして、落下地点まで、ここからまっすぐ歩いて行くんだ。そうすれば、ボールは見つかる。」「トロリーを曳いたまま、深いラフに入ってはいけない。草が倒れるし、トロリーに草が絡まってしまうからな。トロリーを曳いてラウンドする場合は、フェアウェイを歩いて行って、ラフに入る時は、そこから90度折れて、トロリーはフェアウェイに置いたまま、ラフでボールを探さなくてはいけない。しかし、その場合、ボールを発見することはかなり難しくなる。深いラフにボールを打つ人間は、トロリーなど曳かずに、キャディバッグを背負ってラウンドした方が良い。」「(グリーン上で、ボールを拭いたり、ラインに合わせて置き直したりしていると)それは、なんのまじないだ?ボールに泥なんか付いてないし、マークをラインに合わせるとパットが入るのか?関係ないだろう。ボールとボールを打ち出す方向にラインを想定するので、ボールの上のマークなんて、合わせたって、入らないだろう?」「(パターの時、ピンを抜こうとすると、)いちいちピンなんか抜かなくていい。競技の時は別だが、プライベートのラウンドの時は、ピンに当ててもペナルティなんかつけなくていい。それよりも、さっさとパターを終わらせて、次のホールに行こう」「(150yのPar3が強烈な向かい風で、5番アイアン(通常170~180y)のフルショットが、グリーン手前に落ちた時に)いつもは7番で、強い向かい風だから5番にしたって?ヤーデージの表示よりも、自分の感じた距離を感じた打ち方で打て。5番ウッドでもいいし、ドライバーだっていい。パターで150y転がしたっていいんだ。」「バンカーの出口はひとつじゃぁない。横にも打っていいし、後ろにも打っていいんだ」

おかげで、見渡す限り、人っ子一人いないラナークやマクリハニッシュで一人ぽっちでプレーするにも、何の問題はありませんでしたし、セントアンドリュースのニューコースでプレーしていると、前をラウンドしている二人組が、「一緒にやろう」と待ってくれていただけでなく、ラウンド終了後、「明日、カーヌスティに一緒にいかないか?」(残念ながら、最初のレイブンのおじいさんと、その日はランディンに行く約束をしていたので、断りましたが)と誘ってくれたり、楽しいゴルフができました。

その後、日本に戻ってきてすぐに本屋で発見したのがこの本です。似たような体験談にスコットランドでの楽しい思い出を思い出し、「やっぱり、リンクスでのプレーは、同じように強烈に楽しい経験なんだな。」と思いながらも、「しかし上には上がいるものだなぁ。」と思ったのを思い出します。

今回は、私が「リンクスにゴルフに行く」と宣言したら、「じゃぁ、私も行きます。」と同行する仕事仲間が1名あらわれ、一緒に行くことになりました。

まずは、成田からロンドン経由でエジンバラ。エジンバラで一泊した後、エジンバラから東に車で30分足らずのマッセルバラから、いよいよスタートです。

Musselburgh Links

1日目−9:00AM。マッセルバラ(Musselburgh Links)1567年にメアリー女王がここでプレーした。という記録の残る世界最古と言われるコースのひとつです。ちなみに1567年は、永禄10年。松永久秀東大寺大仏殿焼き討ち。戦国時代です。現在は9ホール(最初は7ホール)全英オープンも1800年代に、6回開催されています。「世界最古のゴルフクラブ」と言われている「ジ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」が、ここを使っていたが、他にも「ロイヤル・バージェス」などいくつかのクラブが同居しており、混雑を嫌った「ジ・オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」が、ここより更に東に作ったのが、あの「ミュアフィールド」です。その後、「ロイヤル・バージェス」もエジンバラの西に専用コースを作るなど、その頃あった各クラブは、このコースを離れています。まぁ、「名門」好きな人が、良く「19××年にできた由緒正しい名門」みたいな表現をしますが、それでいうと、「超」名門。というより、ここより名門は難しい。では、ここがどういういうところか?というと、なんと競馬場の中。(爆笑)主に内柵の中にコースがあり、外側の競馬場も、今も現役で使われている。2954yPar34。Par3が3つ。Par5が1つ。アンジュレーションも大したことはないし、楽勝。と臨んだら、これがいきなり大苦戦。1番は、240yのPar3。時差と飛行機での長旅で、体が思うように動かないことや、最初のラウンドの緊張もあり、いきなりラフにボールを打ち込みロスト。8打のスタート。2番348yでもロストでトリ。3番357yでやっとパーをとったのも束の間、4番431yPar4では、アプローチがグリーン奥に転がり出たら、その先は道路でパブの駐車場とつながっており、ここでもロストで8。ちなみにこのパブは、このゴルフ場ができた頃からある「Mrs.Foreman」というお店。昔は、ラウンド中にプレイヤーは、このパブに寄って一杯引っ掛けていたらしい。考えてみれば、世界最古の「お茶屋」かな。いつも、お茶屋で「キュッ、と一杯。」とか、やっているから、ボールが呼ばれたんでしょう。そんなこんなで、終わってみれば、ロスト5つ。19オーバーの53。とほほ。

競馬場と侮るなかれ、意外なアンジュレーションに狭いフェアウェイ。深いラフ。それに、結構距離もある。アイアンでフェアウェイキープすればセカンドが難しく、ティーショットで距離を求めれば、ラフに入る。ラフに入れば、+1で済めばよし、かなりの確率でロストもある。

望めば、昔のヒッコリーシャフトのレンタルクラブあり。次回があれば、挑戦してみよう。昼飯は、次のノースベリックで食べるとして、早々に出発。

1日目 2:20PMノースベリック(The Northberick golf club)1832年創立。ちなみに1832年もググってみたら、「天保3年。鼠小僧次郎吉 獄門」だそうです。(大笑)

昼過ぎに到着して、「3:30PMのスタートなんだけど、早く着いたから、ラウンジでランチ食べて、空いてたら早めにスタートしていい?」と聞いたら、快く「ウェルカム!」と来た。ラウンジでのランチも快適。ビールも旨いし、飯も旨い。ついつい長居して、2時になったので、「そろそろ行けるか聞いてみようか?」とスターターに聞いてみたら、「今ならOK」というので、即スタート。こちらが慌ててスタートの支度をしているのに、スターターのおじさんが、クラブの歴史や、名物ホールを説明してくれた。1番ティーの目の前は海で、その向こうに港があり、「オールド・トム・モリスとヤング・トム・モリスがここでエキジビションマッチをやっている時に、ヤング・トム・モリスの奥様が急なお産で危篤の知らせが入り、そこの港から船でセントアンドリュースに帰った。」と、まるで自分が見ていたかのように語る。しかも「彼の奥さんと子供は死んでしまい、彼もあまりの悲しさで、そのわずか6週間後に死んでしまった。」「only 6weeks」と繰り返しながら、首を振る様に、「お前は、知り合いなのか!」と突っ込みを入れたくなったほど、彼らにとっては、トム・モリス親子から現代にいたるまでのゴルフの歴史は、すぐそばにあることなのだろう。さぁ、6464yPar71の本格リンクスのスタートです。

Pit

出だしの1番322yPar4こそパーで発信したものの、OUT46(ロスト2回)、しかし、無茶苦茶面白いコース。特に13番387yPar4「Pit」は、2打目はフェアウェイ左サイドのグリーンに打っていくのだが、フェアウェイとグリーンの間に高さ1メートル、幅60センチくらいの石垣が横たわっている。と言うより、グリーンのフェアウェイ側が全部石垣。(爆笑)反対側は小高い山で深いラフ。ちょっとでも深く打ち込むとロストだし。これが縦長のグリーンなので、2打で狙うのには、左右のブレは許されない。じゃぁ、右側のフェアウェイに逃げると、石垣越しのアプローチ。しかも奥行きが無い。ゴルフ場が出来る前は、牧場だったそうで、その名残りだそうです。ゴルフ場が出来る前からあるのだから、文句を言うな。ということらしいです。ここでは、パーを獲りました。

Redan

ここで一番有名なのは、15番190yPar3「Redan」です。「レダン」とは、ゴルフ用語辞典によると、「パー3で、グリーンの横幅が奥行より長く、グリーンがティグラウンドに対して斜めにレイアウトされているホールが、レダンである。厳密にはグリーンの左サイドのほうが、右サイドよりも遠くなるようにレイアウトされていて、グリーンの中間部分と手前がバンカーなどでガードされているのが特徴。グリーンは奥から手前、プラス右から左(左奥が遠い場合)に傾斜している。

マスターズトーナメントが開かれる、米・ジョージア州のオーガスタナショナルGC後半の難ホール、12番パー3が、恐らく最も有名なレダンの例のひとつだろう。このレイアウトは、ピンがどの位置にあっても前後の幅が狭く、なおかつ手前がハザードによってガードされているため、常に正確な距離感を要求される優れたレイアウト。それゆえ、これまで全世界で最もコピーされてきたホール形状といわれている。

ちなみに、本家本元の「レダン」は、スコットランドにある。ノースベリック・ゴルフリンクスの15番、パー3がこのレイアウトの原型。そして、このホールについている名称が「レダン」なのである。」ということです。

私の所属するNカントリークラブにも、ここを手本にした「レダン」のPar3があります。なんとなく手前にウォーターハザードがあるイメージだったが、普通に谷。ただし、強烈な砲台グリーン。「ふーん、これがかの有名な『レダン』なのかぁ」昔、日光で左甚五郎作『眠り猫』を見た時と同じ感覚かな。

結局、INはやっと53。(ロスト2回OB2回)やっと100を切るが、Par71だから、100ということか。それより、2ダース持ってきたボールが今日だけで11個無くなった。ロストボールを探しているうちに拾ったボールをいくつか補充しているので、まだ大丈夫だが、こんなにボールを無くすのは、心配。

あがるとスターターのおじさんが、「ごめんなぁ、時間がかかって(3時間45分)。途中デンマーク人の4人組が、4時間半もかかってさぁ。信じられないよ。4時間半だぞ。メンバーで3時間半かかる奴はいないし、ビジターでも4時間以内では回れるだろう。」と言ってきた。確かに前後に組が居たが、あんまり待った感覚も無い。ちなみに普通のメンバーは4人で3時間でラウンドするらしい。

本日の宿泊は、セントアンドリュース手前のCrailにあるホテル。ノースベリックからだと、グルッと湾を巡る形で、車で2時間弱。そりゃ、ヤング・トム・モリスも船で帰るよな。さぁ、明日はいよいよセントアンドリュース近辺だ。(第20巻に続く)