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ダウン・ザ・フェアウェイ ボビー・ジョーンズ&O・B・キーラー著 菊谷匡祐訳 ゴルフダイジェスト社

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寒いですね。「気温が10度以下の時は、ゴルフをしてはいけない。」という法案を誰か、国会に提出してくれませんか?今だったら、投票しちゃうんだけど。

順番で言うと、今回は「夏坂本」なんですが、知り合いに「順番からすると次回は、夏坂本ですね。楽しみにしています。」なんて、言われると急に違う本にしたくなる天邪鬼な私です。

ダウン・ザ・フェアウェイ ボビー・ジョーンズ&O・B・キーラー著 菊谷匡祐訳 ゴルフダイジェスト社

今回は、「ダウン・ザ・フェアウェイ」ボビー・ジョーンズ著です。ゴルフダイジェスト社50周年記念本で、「ゴルフのすべて」と2冊組で出版されています。ご存知ですよね?ボビー・ジョーンズ。知らない人がいるとは思いませんが、一応書いておきます。「おそれおおくもかしこくも」1930年の1年間に全英アマ・全英オープン、全米アマ・全米オープンの4大大会に全て優勝(グランドスラム)し、直後に引退。その時僅か28歳。引退後、オーガスタに「オーガスタナショナルGC」を作り、そこで行われたプライベートコンペが、「マスターズ」。つまり「マスターズ」の創始者。4大大会優勝が、全米アマ5回。全米オープン4回。全英アマ1回。全英オープン3回。アマチュアにして最強。全盛期にスパッと引退。その間、ジョージア工科大学を卒業しながら、弁護士を目指し、1年で弁護士資格を取得。頭脳明晰、学業優秀、文部両道。品行方正にして、紳士の鑑。ゴルファーの中のゴルファー。まさに「球聖」です。

「生まれ変われるなら、ボビー・ジョーンズになりたい。」という人が今も絶えず、「おまえらなんて、生まれ変わってもボビー・オロゴン止まりだ。」と言われる憧れの存在です。

生まれ変わるのは無理だとしても、いったいどうしたら、「球聖」ができあがるのか?その一端を垣間見ることができるのが、この本です。発行はなんと1927年。ジョーンズ25歳の時に発行されています。まだ、グランドスラムを達成していませんが、この年全英オープンを2連覇。全米アマも優勝しています。その年、弱冠25歳にして、この本を書いています。

幼い日々に、父親にカントリークラブに連れて行かれ、遊びながらゴルフをはじめ、10代では、近隣で知らぬ者の無い腕前に。そして、次々と大会に優勝します。そして、僅か25歳にして、自らの半生を振り返り、「ダウン・ザ・フェアウェイ」を書いているわけです。

嫌なやつですねぇ。もし、身近にいたら、と思うとぞっとします。だって、ゴルフだけならまだしも、勉強もビジネスも、姿かたちも、育ちも、何も勝てるものが無いんです。周囲の人たちは、25歳の彼を尊敬のまなざしで見ているでしょうし、周囲の女性陣に至っては、この寒い日にも、彼の前では、いそいそと胸元のボタンを2つは外すでしょう。

こちとら、その倍も生きていて、ガキの頃の遊びと言えば、近所の悪童集めてスカートめくりに、柿泥棒。10代では「あの子とは遊んじゃぁいけません。」とPTAで言われるほどの悪ガキに。周囲の女性陣に至っては、真夏でも、ボタンを襟もとまできちんと締めて、まるで新発見のインフルエンザウィルスでも見るように眉を顰める始末。こうして、自らの日々を反省もせず「ゴルフの本棚」を書いているわけです。嗚呼、やんぬる哉。

それでも、もしかしたら、「ゴルフが上手くなる秘密のコツ」が書かれているのではないか?と一生懸命「ダウン・ザ・フェアウェイ」を読んでみました。

書かれてませんねぇ。秘密のコツ。書かれているのは、全編、自慢話。いや、自慢話ですらありません。なにしろ、球聖ですから、自慢などしないのです。謙虚に、「あのトーナメントは、運よく私が勝つことができた。私が勝ったのは、たまたまでしかない。」としか書かないのです。

嘘―っ。アマチュアで全英オープン2連覇してるんですよ。1ホールごとのショットを微に入り細に入り自慢するでしょう?18番ホールのパットひとつでも、ご飯3杯くらい食べられるほど自慢しちゃうでしょう?クラチャンどころか、理事長杯すら勝てなくても、月例で優勝できなくても、それどころか、3位に入賞すらできなかった時も、「惜しかった。あのホールのあのパットが入っていれば、、、」と2年くらいは、ラウンドの度に語っちゃうでしょう?

「!」気がつきました。ここで、気がついちゃうのが、私の凄いところです。もしかしたら、「ゴルフが上手くなる秘密のコツ」とは、「自慢をしない」ということなのでは、ないか?球聖がさりげなく書いているが、きっと秘密は、さりげなく隠されている。木を隠すなら森の中。人を隠すなら人の中。「ゴルフが上手くなる秘密のコツ」も、さりげなく隠されているに違いない。遂に聖杯を見つけた気分です。

早速、月例で挑戦してみました。スタート前の朝の練習でも、どことなく良い調子です。普段は、当たらないフェアウェイウッドが、ビシビシ当たってます。いつもなら、「ねぇねぇ、見て見て!この当たり!この調子なら、今日はパープレイでラウンドして、ハンデを引くと14アンダーで優勝だな。」と周りの白い眼もお構いなく、大言壮語しますが、「秘密のコツ」を習得した私は、「うーむ。おかしいなぁ。」と軽く小首を傾げながら、練習します。クラブをドライバーに変えると、スライスが連発して、本気で「うーむ。おかしいなぁ。」と首を傾げることになったので、早々に練習を切り上げて、ラウンドに挑みます。

ラウンド中も、「見た?今のドライバー、300ヤードくらい行っちゃってない?え?200ヤード?ちょっとヒール気味だったからなぁ。」とか、「いやぁ、今のバンカーショットなんか、プロでもあんなにうまく打てないね。」とか、一切言わずに、「ふふ。」と球聖的な頬笑みを浮かべてラウンドしました。

結果?聞きますか?46-56の102。最近の月例の最悪スコアでした。

結論。「自慢をしない」は「ゴルフが上手くなる秘密のコツ」ではない。むしろ、自慢をしないとフラストレーションが溜まり、ゴルフが乱れる可能性が高い。それどころか、腰が痛くて痛くて、ぎっくり腰になりました。人間、慣れないことをしてはいけません。「ダウン・ザ・フェアウェイ」どころか「ダウン・ザ・ベッド」。暖かくなるまで、しばらくゴルフはお休みとしましょう。