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「ザ・ゴルフマッチ〜サイプレスポイントの奇跡」 マーク・フロスト著ゴルフダイジェスト社

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梅雨時ですが、雨さえ降らなければ、この季節は、一年でもっとも一日の長い季節です。朝5時前から、夕方6時過ぎまで、ゴルフができます。1日2Rは当たり前。普通に2Rするのではなく、早朝+通常ラウンドを2か所のゴルフ場でやったり、さらに、追加ハーフや薄暮ラウンドを入れて、2.5Rから、隙あらば3Rこなそうという不逞の輩が跋扈する季節です。まぁ、自分のことですが。何か?(笑)なので、正直なところ、本なんて読んでいる場合じゃないんです。そんな時間があれば、1ホールでも多く回りたい。

でもね。電話がかかってくるんです。「もしもし、まこっちゃん?今、いい?最近、ゴルフやってる?この間ね、Sカントリーのキャディさんが『最近、ちっともお見えになってません。』って、寂しそうでしたよ。そうそう、ちょっとぽっちゃりした感じのキャディさん。もてるね。この後家殺し!え?後家じゃない?そもそも、殺してもいない?いーじゃない、そんなのどっちでも。あの、なんだっけ。『本棚』?評判いいみたいよ。あれに出てた本、買いました!って、メールが来てましたよ。素晴らしいよね。それで次は、いつできるの?」

前田社長からの原稿の催促です。(苦笑)前回、目土のおじさまからの牽制球がありましたので、加賀屋ゴルフHPの「ゴルフライフ」部門のバランス。とかも私は、考えてみました。今のところ、「ゴルフライフ」を書いているのは、目土のおじさまと、まっちゃん、それとMISOJI兄弟と私です。(MISOJI兄弟は、ご結婚を機に休載を宣言されていますが、End表示がないので、とりあえず、入れておきます。)だいたい、みなさん月に1回か2回くらいのペースで更新されているようです。私も、だいたいそんなペースになるでしょう。だとすると、だいたい1週間に一回、かわりばんこに更新されると、読むほうも「お!今週は目土のおじさまが。」「おや、今週は、まっちゃんが。」となるわけですね。つまり、自分が書いたら、次は、誰かが書くまでは、「俺の番じゃないからね。ゴルフは遠い球から順に打つんだよン。」と知らんぷりしていていいのではないか?と考えたわけです。

6月のノルマ(笑)は、私は6/1に早々と達成しましたので、次に目土のおじさまか、まっちゃんが更新しない限り、のほほんとゴルフをしていられるわけです。すると、、、なんと6月23日にまっちゃんが更新するまで、誰も更新せず。1週間ごとどころか、3週間以上ほったらかしでございますな。(笑)さすが加賀屋ファミリー。みんな、ゴルフ2Rで忙しいのか?それとも、単なるB型マイペース人間の集まりか?この後は、目土のおじさまの番だが、いつになるかわからないし、とりあえず、先に書いておこう。

とまぁ。そんなこんなで、今回本棚に並べるのは、「ザ・ゴルフマッチ」です。この本は、「ゴルフダイジェスト社創立50周年記念出版」と銘打たれた由緒正しい本です。

1956年にサイプレスポイントで行われたベン・ホーガン&バイロン・ネルソンのプロ組とケン・ヴェンチュリとハーヴィー・ウォードのアマ組による4ボールベストのマッチプレーを描いた本です。

このマッチは、公的な試合でもなく、エキジビションマッチでもなく、あくまでもプライベートなラウンドとして行われました。ベン・ホーガンは、PGAツアー64勝(メジャー9勝)。バイロン・ネルソンは、PGAツアー52勝(メジャー5勝)。のアメリカプロゴルフ草創期の巨星です。対する2人は、私は知りませんでしたが、ケン・ヴェンチュリは、CBSのゴルフキャスターを長く務めた方で、1964年の全米オープン優勝者。このマッチの数ヵ月後、1956年のマスターズでは、アマチュアでありながら、最終ラウンドを2位に4打差をつけ首位で迎えます。アマチュアでありながらマスターズ優勝を目前にしながら、最終ラウンドで、3パット6回を含む80。2位に終わります。昨年、日本から松山君が、マスターズでローアマを取りましたが、彼が最終ラウンドで4打差首位だったら、どれくらいの騒ぎだったか?と想像してください。さらに、もうひとりのアマ、ハーヴィー・ウォードは、このマッチの前後、1955年と1956年の全米アマ優勝者。1955年にはマスターズ8位、全米オープン7位。1952年には全英アマにも優勝しており、「ボビー・ジョーンズの再来」と言われ、当時のナンバーワンアマチュアです。

時代背景として、「プロゴルフ」というものが、まだきちんと成立しておらず、「プロ」よりも「アマチュア」の方が儲かる。プロの年間獲得賞金よりも、上流階級がサラリーマンとして勤める給料の方が高い。という時代でもありました。そんな中で、ベン・ホーガンとバイロン・ネルソンは、生活のために子供時代からキャディをし、さらに大人になってプロゴルフファーになったわけですが、当時は、「ボビー・ジョーンズ」という巨星が絶頂期に引退した後、世の中は、まだまだ「アマチュア」のスターを求めていました。ベン・ホーガンも、バイロン・ネルソンも、1956年には、ツアーから引退していましたが、彼らが誇りをかけて、トップアマのコンビと戦う。という話です。

ベン・ホーガンとバイロン・ネルソンは、同じ年で、同じゴルフ場のキャディとしてキャリアをスタートしました。プロゴルファーになった当初は、親友としてともにツアーを転戦するのですが、些細なことから仲たがいし、晩年は、ほとんど口も利かなかった。という仲だったそうです。そんな彼らが、生涯最後のペアを組み、どんな戦いを若いアマチュアとしたのか?これまた、複雑に絡み合った人間関係が描かれます。

人間関係が複雑すぎて、カタカナ名前が覚えられない私は、読み始めは、とても苦労しました。ゴルフで疲れていたから読んでいるうちに寝てしまうこともしばしば。ですが、このマッチが、進むにつれて、物語に引き込まれ、ラウンドしたことの無いサイプレスポイントの松に、磯の香りが混じった青い匂いを感じ、ちくちくする松の枝の陰から、息を殺して、どきどきと4人のプレイを見守っているようにすら思えました。

ザ・ゴルフマッチ

彼らが、どんな結末を迎えたのか?勝敗は、プロ、アマ、いずれに傾くのか?それは、読んでお楽しみください。ただし、カタカナ名前に弱い人は眠らないように要注意です。

物語は、このマッチ後の、4人の生涯も描いています。そこには、スポーツをめぐる「プロ」と「アマ」の哀しい歴史が書かれています。私自身は、こちらの方にも衝撃を受けました。今のスポーツ界も、こういった先人たちの苦労があって成立しているのですね。