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「モダン・ゴルフ」ベン ホーガン著ベースボールマガジン社 まこっちゃんのゴルフの本棚

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はじめて、読んだ「ゴルフの本」を覚えていますか?

私は、覚えています。「モダン・ゴルフ」です。

私が、10歳ごろのある日、親爺が大切そうに一冊の本を買って帰り、本棚に飾りました。それが、「モダン・ゴルフ」です。白地に緑の大判のハードカバーで、見るからに高級そうな匂いを発していました。当時、我が家の本棚には、「平凡社百科事典シリーズ」と「ディズニー物語シリーズ」、「ファーブル昆虫記」そして私のお気に入りの「シートン動物記」といった子供向けの本しか並んでおらず、そこに新たにやってきた「モダン・ゴルフ」は他者を圧倒して、本棚の一番良い場所を占めておりました。

本が大好きだった私は、早速、手に取りページをめくりますが、すぐに親爺が、「汚い手で触るな!」と取り上げられて、子供の手の届かない箪笥の上にしまわれてしまいました。それを、親の居ない時に、椅子を持ってきて取り出し、そっとめくって見た時の期待感。 

何が書いてあるのか?どきどきと、ページをめくって見ましたが、がっかり感はひとしおでした。(笑)だって、ヘンな帽子をかぶった(後にハンチングというおしゃれな帽子だということを知る)ヘンな親爺(後にベン ホーガンという偉大なゴルファーだということを知る)が、ヘンな指の形を作って棒を握る(後にグリップという大切なことだと知る)イラストが描いてある本だったからです。本が大好きだった私は、それでも、きちんと最初から最後まで読みましたが、結局なんのことだかさっぱり分からず、私の中では長年「つまらない本」ナンバー1に輝いていました。

今回、これを書くにあたって、読み返してみたくなり、親爺に「ベン ホーガンの「モダン・ゴルフ」って、まだ持ってる?」と聞いてみたら、しばらく、目をしばしばさせて、「なに?」と聞き返すので、「ベン ホーガンのぉ「モダン・ゴルフぅ」ってぇいう本、持ってたでしょぉぉ?」って声を、大きくしてみましたが、「うーんんん。」親爺も、もう80歳なので、会話をするのも大変になってきました。

仕方がないので、本屋さんに行って、買ってきました。ハンディ版というやつになって小さくなっていました。調べてみますと、初版は、1958年8月20日刊。水谷準訳です。1988年に新装版刊。2002年に塩谷紘訳になり、2006年にハンディ版が出されています。ちなみに本屋にあったもう一冊の塩谷訳本は、表紙が赤く、「あれ?「モダン・ゴルフ」って、白と緑だと思っていたのに、記憶はあてにならないな」と最初に思ってしまいましたが、水谷訳本は、記憶通り白と緑でした。50年以上昔に書かれている本なのです。そりゃ、ウチの親爺もボケるはずです。

とはいえ、この本は、数多ある「ゴルフ技術書」の「古典」と言われ、人によっては、「バイブル」とまで言っています。まぁ、「バイブル」って、存在は知っていても、なかなか読まない。っていう意味かもしれません。今回、読み返して初めて認識しましたが、もとは、かの有名な『スポーツイラストレイテッド』誌が、1957年3月11日号から5回にわたって連載した「Five Lessons of the Modern Fundamentals of Golf」という記事だということです。5つのレッスンね。

「はじめに」から泣かせます。「何とかしてもっといいゴルフがしたいという切ない思いは、アメリカ人にとって、いわば国民的な熱病である。」という文ではじまります。アメリカ人だけでなくて、既に日本人もその熱病にかかっていたので、雑誌の連載翌年には、日本語訳が出ているわけですね。『切なる願い』じゃなくて、『切ない思い』というところに涙を禁じえません。

「自分はほどほどのゴルフができればそれで十分さ、などとうそぶくゴルファー氏もいるかもしれないが、(つまり「私は90台で回って、大いに楽しんでいます。そんなスコアは、自分にとっては上出来です」などと宣うわけである)。しかし、それが真っ赤な嘘であることは、本人がだれよりもよく承知している。本人は、90を切ることをひたすら念じており、その念願が達成されると、今度は80を切ることに、前とまったく同じように必死になる。そして70台の後半で回りでもしようものなら、今度は一つだけ残った夢が膨らんでゆく。つまり、パープレーもしくはアンダーパーの夢である。」

おいらの夢をなぜ知っている?誰にも言っていないのに。しかも50年以上前に予言。

さて、ベン ホーガンのレッスンは、次の5つです。

 Lesson1 グリップ
 Lesson2 スタンスとアドレスの姿勢
 Lesson3 スウィングの前半(バックスイング)
 Lesson4 スウィングの後半(ダウンスイング)
 Lesson5 まとめと復習

それぞれ、何が書かれているか、興味ある方は、是非、読んでみてください。パーシモンクラブ時代の古いゴルフ技術書。と言う方もいるでしょうし、スウィング自体は、いつの世も変わらない。と思うかもしれません。

ちなみに、私は、この本が、「まとめ」を除くと「グリップ」「アドレス」「バックスウィング」「ダウンスウィング」の4つに分けられていることが、目から鱗でした。ベン ホーガンは、スウィングをこの4つに分解している。ということです。

いろんなレッスンが氾濫しているので、スウィングする際に、あれこれチェックポイントができてしまいます。ひとつやふたつではきかず、無数に増えます。グリップは、左手はあーして、こーして、アドレスの時に、体重があーしてこーして、テイクバックは、最初は直線にヘッドを動かして右ひざは動かさずに腰と肩は、45度と90度で、トップの時にクラブのシャフトが飛球線と平行に、、、、あー、、、、難しい!!!

私は、この本に沿って、「グリップ」でひとつだけ。「アドレス」でひとつだけ。「バックスウィング」でひとつだけ。「ダウンスウィング」でひとつだけ。のそれぞれひとつにポイントを絞って昨日ラウンドしてみました。Sカントリークラブのバックティーからラウンドして42-41の83。今シーズンベストです。いいかも?「モダン・ゴルフ」。