2008年08月29日

下がったと言われている会員権相場ではあるが

 北京オリンピックが閉幕した24日(日曜日)、ゴルフ界の王子である石川遼選手が、関西オープンでプロ初優勝を飾りました。今回の賞金は賞金ランキングには加算されないのですが、これで石川選手は念願のジャパンオープンに出場可能となりました。
 今回の舞台は、九州の名門、古賀ゴルフ・コースですが、若き石川遼選手の活躍に注目です。

 今年の春以降、軟化傾向を見せ始めたゴルフ会員権相場は、8月下旬現在も相変わらずの弱含みの展開となっています。
 ただし、全てのコースで下落しているわけではありません。

 そこで、今週は、今年年初の価格から大きく下がっている(3割程度以上)コース及び変動していないコース、はてまた、上昇しているコースの1都5県を取り上げてみたいと思います。
 
 まずは、東京都からです。
 こちらでは、軒並み下がっているコースばかりが目を引きます。
 小金井・よみうり・東京よみうり・桜ヶ丘・府中・八王子と多摩カンを除く全ての高額コースで軒並み30%以上の大巾下落を見せています。
 また、青梅・相武・立川国際といった100万円〜200万円だった価格帯のコースや東京五日市・GMG八王子といった大衆価格帯コースも軒並み大巾下落となっています。
 特にGMG八王子は、2005年11月のこれまでの最安値であった25万円を割り込んで、これまでの最安値を突き破っています。
 東京都では、武蔵野だけが横ばい状態で下落は見られません。その他では、10%下落で踏み止まっているのが多摩カン、20%ほどで踏み止まっているのが東京国際と続きます。
 総じて、今年の東京都の会員権相場は弱く推移してきたと云えるでしょう。

 続いて神奈川県に参りましょう。
 こちらも軒並み下がっているコースばかりではありますが、東京都とは音色が異なっています。
 高額コースでは、戸塚・平塚富士見・横浜が25%程度下落を見せていますが、相模原・レイクウッド・磯子・本厚木・厚木国際の高額コースでは15%の下落で止まっています。
 神奈川では、高額コースよりも50万円〜100万円ほどの価格帯のコースの落ち込みが激しく、中津川・小田原湯本・鎌倉の3コースは年初の価格からなんと5割程度下落しています。
 更に、中堅どころのレインボー・長竹・湘南シーサイドの下げも大きく、35%程度の下落となっています。中堅どころでは、唯一、清川の相場だけが年初と同一価格を堅持しています。
 初めて購入するコースとして人気の高かった大相模と津久井湖も下げがきついようです。ただし、神奈川県では30万円以下の大衆コースには、ほとんど下げは見られません。神奈川県は、高額よりも中堅以下の価格帯でコースレイアウトがイマイチかな?と思われるコースの下げがキツイようです。
 神奈川県でも、湘南シーサイドと鎌倉はバブル以降の最安値(湘南シーは2005年12月の160万円・鎌倉は2005年12月の65万円)を突き破っています。
 
 続いて埼玉県に参りましょう。
 こちらも下げているコースが目立ちますものの、東京・神奈川に比べ下げは顕著ではありません。そして、高額だから・低額だからという一見して分る価格帯別による下げ傾向も見られません。
 埼玉県では、ここ数年人気が高かった武蔵の杜の46%下落が率としては一番下げが大きく、続いて、日高・嵐山・飯能くすの樹の35%下落が目立ち、高坂・高麗川・鳩山・入間の中堅優良コースが30%程度の下落となっています。
 埼玉のプライスリーダーである武蔵は、年初の価格から数パーセントの下落しか見られず、全般的に下げがきつかった高額コースの中では異色となっています。
 他県同様に、低額コース(50万円以下)は、年初に比べて下落は見られず、ほぼ価格に変化は見られません。
 そして、これまでの他県にはありませんでしたが、逆に、美里・川越・長瀞の3コースは、年初に比べて価格が上昇しています。このうち美里は、面白いことに、数年前の会員権上昇時には全く上がらなかったコースですが、他コースが下落している中、まだ上昇するであろう勢いを感じるコースであります。

 続いて、千葉県に参りましょう。
 こちらの県も、無論弱含みでの推移には違いがありませんが、他の都県に較べて、下落率が低い県であります。
 その為でしょう、調査していましても変動していないコースが多く目に付きます。
 また、下落率が高いのは高額コースではありません。30%以上下落したコースを列記しますと、千葉カン・平川・鎌ケ谷・木更津・カナリヤガーデン・富里・南総・習志野・京カンの9コースのみとなっています。
 そして、埼玉県にもございましたが、千葉県でもかずさ・勝浦東急・香取・クリアビュー・鶴舞・八幡の6コースは年初に比べて価格が上昇しています。
 そんな善戦している千葉県の中、神奈川の2コース同様に千葉でも習志野は、2005年末から他のコース同様に大巾に上昇しながら、他のコース同様に下がり、更にはこれまでの最安値を突き破ってしまったコースとなっています。
 
 続いて、茨城県に参りましょう。
 こちらも千葉県同様、下落率が低い県であります。そして、千葉県同様価格が大きく変化をしていないことが、調査の結果一目瞭然となっています。
 こちらでは、茨城ゴルフ・龍ヶ崎・国際桜・セントラルの4コースのみが30%以上の下落率を示しています。
 上昇したコースは、フレンドシップ・玉造の2コースです。

 続いて、栃木県に参ります。
 こちらの県も数字だけを見ていますと一見弱含みには映らないのですが、こちらは価格変動がないというよりも、売り買いの情報が少ないから価格に変動が見られないと見るべきでしょう。
 もともと、50万円以上価格が付いているコースが少ないことも要因ですが、30%以上の下落は皆川城の1コースのみです。
 100万円以上している小山・アローエース・日光・宇都宮・唐沢・レイクランドにおいては、アローエースと唐沢、レイクランドの価格は変動していませんが、小山・日光・宇都宮は20パーセント以上下落しています。
 しかし、前記のように数字だけでは栃木県は他県よりも下落率は低くなっています。
 バブル期には多くのゴルファーで賑わい、ゴルフ場王国とも言われた栃木県でしたが、平成10年以降の、こと会員権相場におきましては、同じゴルフ王国の千葉県・茨城県に大きく水をあけられてしまっています。
 栃木県の相場はこれから先弱含みが続くであろうとこのコーナーで何度か触れてきましたが、水をあけられてしまった最大の要因は、プレー価格とコースレイアウトの違いに相違ないと思われます。

 今回の調査の総括をしてみますと、基本的に今年大巾に下げているコースは、東京と神奈川のコースが中心で、特に高額コースの下げが今年は顕著であります。
 しかし、同じ高額コースでも、千葉や茨城では下げ幅は小幅に止まっています。これは、前回の大幅上昇の際の上昇率が東京、神奈川のコースに比べて低かったからであろうと推察されます。
 あまり上がりすぎたものは、その反動も大きいと言うのは何処にでも見られる傾向でありましょう。
 また、下げ相場の時には必ず見られるー入会諸費用が高く感ずるコースの相場は弱いー現象が、今回も相場にハッキリと現れています。

 また、前記したように栃木県の会員権相場が安くなって久しいですが、同じように神奈川県の会員権相場も少しずつ弱くなっているように感じます。高額会員権にはそうは全く感じませんが、中堅から下のコースにその弱さを私は感じています。
 アクアラインの便利性が認知され、ネックと見られていた通行料金も通行時間によっては大巾に安くなり、神奈川県のゴルファーが千葉方面へと完全にシフトしていることから、神奈川県の相場は弱くなっても、逆に千葉県の相場はそう大きく落ち込んでいないものと推察しています。
 2003年に一部の超名門コースが底を打ち、2005年後半から急激に上がり出した各ゴルフ場の会員権相場でしたが、昨年の高値以降、全ての会員権が下がっています。
 しかし、関東で唯一、その昨年の高値からほとんど下げていないコースが存在します。(埼玉の美里は特殊過ぎる感があるので除く)
 そのコース名は、鶴舞カントリークラブです。確かに、名匠井上誠一氏設計というブランド力があり、2005年12月に三井物産から東急不動産に経営が変わってから劇的にコースメンテナンスが良となったことが大きいと云えますが、最近の鶴舞への入会希望者の神奈川県在住者が多いこと多いこと。
 つまり、鶴舞の堅実な相場形成の裏には、ズバリ、アクアラインの恩恵を十二分に受けていると断言して間違いはないでしょう。
 面白い話があります。鶴舞でのプレー時、私は同伴者の方々に「鶴舞は広くないですから」と話すのですが、千葉・茨城を主戦場にしている方々は私のこの言葉にフムフムと頷く方は多いのでありますが、神奈川県の同等会員権をお持ちの方で主戦場が神奈川県の方は「前田さん、何を言っているんですか、鶴舞広いですよ!」と口をそろえて仰られます。
 このことからも、神奈川県のコースより千葉県のコースの方が一般的には広々とした造りが多い事が判ります。どうせ同じ所要時間を掛けてゴルフに行くなら、ダイナミックに打てる広いコースへ行きたいと思うのは道理のような気がします。
 上記の赤字の理由はこの点によるものと推察されます。
 そして、この魔法の道路の昨年の木更津東インター開通により、アクアライン近くのゴルフ場の会員権相場と集客数が堅実に推移していると云えるのだと思います。
 更に、このアクアラインから伸びる圏央道の市原南インターが間もなく開通します。
 そうなると、私はこの赤字の現象が更に進むのではないかと見ております。但し、現在ゴールデンウイークにだけ見られている混雑度が毎週末に見られるようにならない限りは。

 鶴舞とは逆に、前記した通り、GMG八王子・湘南シーサイド・鎌倉・習志野は、バブル以降の最安値を突き破ったコースと紹介しましたが、私は習志野に関しては?を感じて仕方がありません。
 習志野のバブル以降のこれまでの最安値は、2005年11月から12月の65万円でした。が、現在の価格は50万円です。私も習志野に5年間プレーに行っていませんが、メンバーさんからはメンテナンスなどは悪くないと伺っていますし、ビジターでのプレー代金も高額ですし、メンバーとのプレーの差額はかなりになる筈なのですが・・・。居心地なのでしょうか?
 コースは、名匠藤田欽哉氏の設計であり、習志野は私が大好きなコースの一つでもあります。堂々としたトーナメントコースでもあり、名前が知れていないということはないのに何故なのであろうか?相場は正直だと言うけれども、この習志野の低迷振りだけは、私にはアンビリーバブルに見えて仕方がありません。

 今年の取引においての売り手さんの統計を取ってみますと、2003年以降に取得された売り手さんが多いことに気が付きます。そして、更にその方々は複数のゴルフ会員権をお持ちの方々が何人もおられましたが、恐らくこれは、ここに来ての相次ぐ各ゴルフ場の年会費の増額に頭を痛めた結果、会員権を手放そうとなったものと推察します。
 これらの事を鑑みますと、これからのゴルフ会員権は益々実需相場になると予想されます。

 高額コースの今後の動向は読みづらいものがありますが、このように下がっていない会員権も多く存在しています。現時点でも、特に、入会費用のそう高くないコースには買いの手がきっちり入っています。
 弊社の場合、お盆を過ぎた辺りから、会員権が上がる前に手当てされた方々やその時タイミングを逃して購入に至らなかった方々からのお問い合わせがなぜかしら増え始めました。
 これまでとは違う風を感じていますので、読みづらい高額コース以外の会員権を購入するなら今がチャンスかもしれません。

 以上、今週の独りごとでした。