ゴルフ会員権 ゴルフ場レポート

芝先案内人のコース拝見

今から遡ること20数年前、あれは確か昭和62年か63年の頃だったと思います。
ゴルフを本格的に始めて数年経った頃で、今となっては古き良き(?)時代のバブル真っ盛り好景気でした。当時はインターネットなど無く、ゴルフをするのは会社の仲間や取引関係の接待くらい、腕前も全然話にならない程度でしたがゴルフに熱中していました。
毎日のように仕事が終わってから、ゴルフ練習場に行って同期の仲間と練習したり、日曜日は朝から練習場に通い、5コインを打って家に帰り昼食後しばらくして夕方から再度練習場に向かい、また5コイン打つなんてこともやっていたのを懐かしく思い出します。
土曜、日曜は練習場も繁盛して、待ち時間が3時間くらいは当たり前の時代でした。

バブル全盛でコースの予約もとても大変な時代です。予約開始日の2ヶ月前から電話で予約するのですが、朝10時の受付スタートでなかなか電話がつながらない。やっとつながるのは2時間以上経過してと言うのも当たり前でした。2時間も経過していれば当然予約は一杯でキャンセル待ち状態です。
主だったコースはメンバーの紹介や同伴でなければ予約が取れなく、またメンバーであっても思うように予約が取れないことも日常茶飯事でした。ビジターだけでプレーできるコースはパブリックかメンバーコースでも相当遠距離の不便なゴルフ場かメンバー無視の金儲けに走ったコースだけでした。
挙句の果てにメンバー同伴であっても予約金を事前に送金しなければならない状態で、まさにゴルフのスタート予約は至難の業、キャンセルなどしようものなら犯罪者のようにみられる時代でした。
当時はセルフプレーなど極一部のゴルフ場だけで、95%以上のコースはキャディ付だったと思います。私の記憶ではセルフプレーでラウンドしたコースは、河川敷で手引きカートの【松戸パブリック(現在の江戸川ゴルフ倶楽部)】と同じく河川敷で当時としては珍しい乗用カートのセルフプレーの【大利根チサンカントリー(現在のクリアビューゴルフクラブ)】だけです。それ以外でセルフプレーしたのは、ショートコースになってしまいます。

雨の日にプレーするとキャディの「荒天手当」と言って割増料金が発生していた時代です。今では考えられないですね。その頃の体験が染み付いているからでしょうか、基本的によほどのことがない限り、私は今でも予約のキャンセルは滅多にしないです。当時はゴルフがしたいという一心で無我夢中でした。そんな状況だから毎回4名を集めるのも大変だし、メンバーになって好きな時にゴルフをしたいと心に芽生えてきたのも当然です。大して上手くもないのにメンバーになって見ず知らずの人とプレーする気になるなんて、今思えば身の程も知らず若さだけが原動力でした。

ゴルフ雑誌の会員権業者の広告、相場表を見ながら色々と検討する日々が数ヶ月続きます。相場はうなぎ上りで上がっている時代、東京から100km圏内で500万円以下のコースはありませんでした。小金井カントリーが億カンと言われ5億の値を付けている頃です。若いサラリーマンには会員権なんて夢のまた夢です。それでも何とか欲しくて検討を重ね候補のコースを絞りました。都内東部在住だったので、東北道、常磐道や千葉方面が中心です。当時としては低価格帯だったこと(それでも相当の値段でした)、立地条件等を考慮して、矢板カントリーか東都栃木カントリーか大千葉カントリーが候補になりましたが、今になって考えるとあんな相場価格は信じられません。狂乱の会員権相場でしたね。また、どこの業者に問い合わせるかも悩みの種、本当に不安だらけです。

そんな折に、ふと目にしたスポーツ新聞の広告。千葉県の成田空港近くの某新設コース募集記事。比較的フラットな18ホールのコースで募集金額が確か250万円だったかな。
前出の矢板や東都栃木よりも遥かに安い金額。ついに問い合わせの電話をしてしまいました。今なら多少の知識もありますが、当時はズブの素人で右も左も分からない状態で営業マンの話を聞くことに。家に来た営業マンはゴルフ場の名刺を差し出しましたが、後で判ったことですが本当は募集代理店の業者の営業マンでした。
綺麗なパンフレットには完成したコースの写真が印刷されて心を惹きつけます。募集締め切りも間近と煽られて、とりあえず内金の2万円納めます。最終的にはコースを見てみたいと希望して1週間後の日曜日に見学することに。コース、ハウスとも完成はしていましたがオープン前のためプレーは出来ない状態のコースに足を踏み入れました。真新しいクラブハウスをウキウキしながら巡回し、歩いて18ホール全てを見て廻り満足して帰宅です。
同日には他の購入者もチラホラ見学に来場していました。しかし、当時は情報収集も簡単ではなく、初めての会員権購入には一抹の不安が残ります。心配の種を無くすため、少しでも情報を集めたいと考えていた時に、発売された某ゴルフ週刊誌に当該コースの記事が特集で掲載されて愕然とした思いで記事に目を通すことに。
経営会社はいくつかのゴルフ場を手がけて埼玉にもゴルフ場を持っていて、そこは既に開場しているがメンバーが数万人もいて予約もままならない、いい加減な経営との記事。購入検討していた千葉のコースもメンバーは2万人とも3万人とも書かれていて問題を含んでいることが判明。入会したとしてもプレーが出来るか甚だ疑問の残るゴルフ場でした。
当時としては破格の募集金額だったから当然に訳があったのです。
すぐさま営業マン宛に電話連絡および解約の意思を内容証明郵便で送付しました。その時営業マンから内金の返金は出来ない旨の返答。初心者には授業料だったと諦めました。

数年後に遠方ではありましたが、予約も取れる開場して20年近くのコースのメンバーになりました。現在は近くの江戸崎、京が中心で、遠方のそのコースにはここ数年は行っていません。やはりメンバーになるには近くのコースが一番ですね。

それから時は過ぎ、時代が代わり平成13年のある日のことです。
当時購入しようとしていたコースの予約をインターネットでとり、行ってみることにしました。世が世なら、メンバーになっていたコースです。あの時の判断は正しかったのか自分の目で確認したくて仕方ありませんでした。
コースに到着してクラブハウスに入った瞬間、自分の選択が正しかったことを即座に感じました。小奇麗な新築のクラブハウスは10数年の間にボロボロになっていました。安普請の建物であることが至る所で見て取れます。手入れが行き届かないので傷みが進み、トイレ等の剥がれかけた壁紙や天井にはがっかりです。
当時はプレーしたことのあるゴルフ場と言えば数コース程度で、レイアウトの良し悪しも判断出来ず、どんなコースでもまあまあと思えましたが、あれから歳月が流れてラウンド経験数も段違いに増え、コースの数も400コース以上経験した実績で、あらためて実際にプレーした感想は「とても狭いコースで距離も無く、至る所にネットで仕切りを付けて、ショートコースのような作りでメンテナンスもがっかりでした。」
コース選定に当たっては、しっかりした情報収集と沢山のコースを実際に見て、自分の判断基準をしっかりとさせることが重要だと思いました。

掲載日  2009年2月17日